定年を迎え、会社を去ったあと、仕事に使っていた時間を持て余す人は少なくありません。収入を得るために働き続ける選択もありますが、毎日の過ごし方を見直すことで、これまでとは違う時間の使い方が見えてくることもあります。今回は65歳の男性の事例から、定年後の過ごし方と人とのつながりについて考えていきます。
「会社を辞めてから、朝が楽しみになりました」〈年金月17万円・預貯金2,000万円〉65歳元サラリーマンが「朝6時」に始めたこと ※写真はイメージです/PIXTA

朝のコーヒーが定年後の生活を変えた

現役時代にはなかった時間の使い方をするようになった小林さん。さらに本をたくさん読むようになって、外出も増えたといいます。

 

「本を読んでいると、色々な場所やモノが出てくる。そうすると、実際に行ってみたい、見てみたいと思うようになって、自然と外に出ることが多くなったんです」

 

さらに外出が増えると、今度は交友関係も広がったといいます。

 

「喫茶店や図書館で世間話をするような人もいますし、外出先で出会った人とLINE交換をして、食事に行ったこともあります。現役時代は家と会社の往復だけだったのに……仕事を辞めると世界がガラリと変わりました」

 

65歳まで仕事をともにした同期の半数は、まだ働いているといいます。

 

「仕事を続けている同期の多くが『仕事を辞めてもすることがない』と言っています。そんな彼らからは『お前は仕事を辞めたら引きこもりになる』と言われていました。しかし『予想が大きく外れた』と、みんな驚いています」

 

小林さん自身も、定年前はこんな生活になるとは想像していませんでした。

 

「何か新しいことを始めたわけじゃないんです。ただ、朝の時間を変えてみた。それだけで行ってみたい、見てみたい…と自然と世界が広がり、人とのつながりも広がっていきました」

 

内閣府『令和7年 人々のつながりに関する基礎調査結果』によると、趣味やスポーツなどの「いずれかの社会活動に参加している」人で孤独感を「しばしばある・常にある」と感じる割合は2.1%にとどまり、「特に参加していない」人(6.5%)に比べて低い傾向が示されています。また、日常的な外出目的として「趣味や娯楽、散歩や運動」を挙げる人は38.5%に上ります。

 

定年後は仕事に代わる特別な課題を探さずとも、散歩や読書など日常の中で外へ足を延ばし、身近な交流を重ねていくことが、心豊かなセカンドライフを送り、孤立を防ぐ鍵といえそうです。