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車で20分の距離でも、孫と会うのは年に1回
「会う必要はないと思っています」
そう話すのは、72歳の高橋誠さん(仮名)です。妻の洋子さん(70歳・仮名)と2人で暮らしています。夫婦の年金収入は月30万円ほど。娘夫婦には中学2年生の孫(蓮くん)がいます。
娘夫婦一家が暮らすのは、誠さん夫婦の自宅から車で20分ほどの場所です。電車と徒歩を使っても30分程度。会おうと思えば会える程度の距離です。
ところが、誠さん夫婦が孫と直接会うのは、年に1回ほど。正月に娘一家が訪ねてくるのが、ほぼ恒例になっています。
「遠いから会えないわけではありません。娘からも『いつでも来て』と言われています」
それでも、自分たちから孫に会いに行くことはほとんどないといいます。意外なのは、祖父母と孫の交流そのものが少ないわけではないことです。
誠さん夫婦は娘一家とLINEでつながっています。孫が学校で描いた絵や、出かけた先の写真が送られてくることもあります。誠さんが「上手にできたね」と返信すると、孫から短いメッセージが返ってくることもあるそうです。
「この前も、学校であったことをLINEで送ってきました。会してはいませんけど、何をしているかは結構知っていますよ」
総務省の「通信利用動向調査」によると、2024年のインターネット利用率は、70〜79歳で77.0%でした。65〜69歳では91.2%に達しています。高齢者にとってもインターネットは家族との連絡手段のひとつになっており、直接顔を合わせること以外にも、日常的な交流の方法があります。誠さん夫婦にとっても、LINEは孫との関係を保つための身近な手段になっています。
では、会おうと思えば会える距離にもかかわらず、なぜ年1回程度しか会わないのでしょうか。
誠さんがまず挙げたのは、娘夫婦の生活です。
「仕事もありますし、子どもの学校や部活もある。結構忙しいようです。こっちが『会いたい』という理由で予定を合わせてもらうのは、違うと思っています」
孫がかわいいからといって、娘夫婦の家庭に頻繁に出入りすることは避けています。
「近いから、いつでも行ける。でも、いつでも行く必要はないと思っています」
娘夫婦から頼まれれば話は別です。娘が仕事でどうしても迎えに行けないときには、孫を迎えに行ったこともあります。今はそのようなこともなくなり、結果、必ず会うのは年1回というのが習慣化しました。そのようななかでも、困っているときには手を貸す、それ以外は娘夫婦の生活には首を突っ込まない――という基本スタンスは変わっていません。