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「残すためのお金」から「使うためのお金」へ
旅行を重ねるうちに、茂さんの中でも少しずつ意識が変わりました。
お金を使うたびに罪悪感を持つ必要はない。老後の生活に必要な分を確保したうえで、残った資産を自分たちのために使ってもいい――現在は、住み替えも検討しています。今の家は夫婦2人には広く、2階はほとんど使っていません。駅からも距離があるため、今後の身体のことを考えると、生活しやすい場所に移る選択肢も出てきました。
もちろん、貯蓄を使い切ろうと考えているわけではありません。病気や介護に備える資金は確保します。どちらか一人になった場合の生活費も必要です。そのうえで「自分たちのために使う」ことに対して、罪悪感を抱くのをやめたのです。
国税庁『相続税の申告事績の概要』によると、2024年分の相続税の課税割合は10.4%でした。相続財産があっても、すべてのケースで相続税がかかるわけではありません。老後資産を考える際には、いくら子どもに残すかだけでなく、自分たちの生活にいくら必要なのかを考えることも重要です。
「子どもにはお金は残しません」
ただし、それは子どもに財産を渡したくないという意味ではありません。困っていても絶対助けない、というわけでもありません。ただ、万一のことを考えて、自分たちが我慢する必要はないと思うようになったのです。
「ずっと『親なら、子どもに何か残してあげるもの』と考えていました。私たちも親に遺してもらったので。ただ今の時代は、親は親、子は子、なんですね」