教育資金の援助は、子世代にとって大きな助けになります。一方で、援助をきっかけに、孫の進路や塾選び、家庭の方針にまで意見を述べる親もいます。資金援助と家族間の距離をどう考えるべきなのでしょうか。ある家族の事例から考えます。
「金を出すなら口出しするのは当たり前」〈資産3,200万円・年金月18万円〉69歳義母、孫の進路に干渉…嫁は1,000万円を拒否 ※写真はイメージです/PIXTA

「お義母さんのお金は要りません」援助を断った妻

ある週末、恵子さんは夫婦の家を訪れました。長男の志望校について話していると、恵子さんは「せっかく1,000万円出すのだから、学校選びには関わらせてほしい」と話しました。

 

彩さんは、ここで初めて自分の考えをはっきり伝えました。

 

「お義母さんのお金は要りません」

 

夫は驚きました。1,000万円を断る必要があるのか、という反応でした。彩さん自身も迷いがなかったわけではありません。それでも、教育費を援助してもらう代わりに、子どもの進路や家庭のことまで決められるのであれば、受け取らないほうがいいと考えました。

 

最終的に夫婦で話し合い、援助は受けないことにしました。今後の教育費は、それまでと同じように夫婦の収入から負担します。

 

一方、恵子さんとの関係についても、夫婦で話し合いました。援助を断ったからといって、義母との付き合いをなくすわけではありません。ただ、長男の進路や学校選びについては、夫婦と本人で決めることを伝えました。

 

国税庁によると、生活費や教育費として、扶養義務者から必要な都度、直接その費用に充てるために取得した財産は、通常必要と認められる範囲で贈与税がかかりません。一方、教育資金の一括贈与に関する非課税措置は2026年3月31日で終了しています。教育目的の1,000万円だからといって、一律に非課税となるわけではないので注意が必要です。

 

「大金を出すんだから、多少口を出して構わない……そんなおごりがあったんでしょうね」

 

恵子さん自身も、これまでの発言に対し、反省を口にしています。そして「1,000万円というのは多すぎた。今後は、適切な援助をしていきたい」と話します。

 

国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』(2022年)によると、子どものいる有配偶女性が「経済的に困ったときに頼りにする相手」として「親」を挙げた割合は59.2%と約6割を占めており、依然として親世代からの金銭的支援が子育て世帯の重要な支えとなっている実態がうかがえます。

 

しかし、過度な資金援助は家庭の方針や教育への過干渉を引き起こし、親子・親族間の関係性に難しさをもたらす要因にもなり得ます。援助を受ける際は、その範囲や教育方針の決定権などの境界線を明確にし、互いの尊重に基づいた適切な距離感を保つことが不可欠です。