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「2人目はまだ?」 娘夫婦に繰り返した言葉
その日も和子さんは手料理を持って訪ねてきました。食事を終え、孫が別の部屋で遊んでいるとき、和子さんはまた子どもの話を始めました。
「やっぱり、もう1人いたほうがいいんじゃない?」
智子さんは黙っていました。和子さんは続けます。
「この子だって、きょうだいがいたほうがいいでしょう。大きくなってから1人だと大変よ」
そこで直樹さんが口を開きました。
「お義母さん、もう限界です」
和子さんは驚きました。
「どうして? 私はあなたたちのことを思って……」
「それは分かっています。でも、子どもを何人持つかは、僕たちの問題ですよね」
直樹さんによれば、2人目の話をされること自体が1度や2度なら、聞き流せたといいます。問題だったのは、何度断っても話題が繰り返されたことでした。
「手伝うから大丈夫」と言われても、妊娠や出産、その後の子育てをするのは夫婦です。仕事との両立や家計についても、自分たちで考えなければなりません。
「私たちは今の生活で十分幸せだから」
智子さんも母にそう伝えました。和子さんは、この日の帰宅後、自分が娘夫婦のためにしていたことを考えました。
「娘夫婦の役に立ちたい」という気持ちは本当です。しかし、子どもの人数についてまで、自分の考えを繰り返し伝えていたことには気づいていませんでした。
「娘のために言っているつもりだったけど、娘たちには違って聞こえていたんでしょうね」
国立社会保障・人口問題研究所『第16回出生動向基本調査』によると、夫婦の平均理想子ども数は2.25人であるのに対し、平均予定子ども数は2.01人となっています。特に結婚持続期間10年未満の夫婦では予定子ども数が2人を下回っており(0〜4年で1.95人)、子どもを1人にとどめる家庭も増えています。
理想の数の子どもを持たない理由としては、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が52.6%で最多を占め、次いで「高年齢で生むのはいやだから」や「育児の心理的・肉体的負担」などが挙げられています。親世代の期待と反し、現代の夫婦は経済面や体力面での実情を踏まえた現実的な選択を迫られているといえるでしょう。