(※写真はイメージです/PIXTA)
県立優勢の地域で、娘は「私立一本」
地方都市に暮らすミサトさん(45歳・仮名)は、会社員の夫(47歳)、高校1年生の長女・アヤさん(16歳・仮名)、中学2年生の長男の4人暮らし。夫婦は共働きで、世帯年収は約750万円です。
ミサトさんたちが暮らす地域では、大学進学を目指す中学生にとって、歴史のある県立高校が今も有力な進学先です。
ミサトさん自身も当初は、「できれば県立に進んでほしい」と考えていました。2歳下の長男の教育費もあり、その先には2人の大学進学も控えています。学費を考えれば、公立を選んでほしいというのが本音でした。しかし、アヤさんは早い段階から、地元の私立高校への進学を希望していました。
きっかけの一つが、年上のいとこの存在です。アヤさんが小さいころから慕っていたいとこは、その私立高校を卒業後、国立大学の国際系の学部へ進学。現在は商社で働いています。
「娘にとっては、昔から憧れのお姉ちゃんなんです。同じ高校に行って、自分も大学では国際系の勉強をしたいと言っていました」
その高校は大学進学に力を入れており、「塾に通わなくても、学校の授業や講習で国公立大学を目指せる」という方針を掲げています。県立高校も選択肢に入れてほしいという親の思いとは裏腹に、アヤさんの気持ちは変わりませんでした。
そんななか、高校授業料への公的支援が拡充され、私立高校でも授業料負担が軽減されることを知ります。
「授業料の負担が減って、塾にも行かなくていい。それなら私立でもなんとかなるかもしれないと思ったんです」
もちろん、制服や教材などが別に必要なことは知っていました。それでも、「一番大きい授業料の負担が軽くなる」という安心感は大きかったといいます。家族で話し合い、アヤさんは憧れていた私立高校へ進学しました。
「制服って、17万円もするの?」
合格後、さっそくまとまった出費がありました。制服や体操着など、学校指定品を一式そろえると約17万円。さらに学校で使用するパソコンやタブレット、教科書、副教材なども必要になりました。
「高いとは思いましたが、入学時だけの出費だと考えていました」
ところが、高校生活が始まってからも、通学定期、学校納付金、教材、模試、部活動に必要な用品など、数千円、数万円単位の支払いが続きます。
さらに驚いたのが、海外研修旅行でした。アヤさんの学校では、高校2年生を対象に海外研修旅行が用意されており、費用は約50万円。参加は希望制ですが、国際系の分野に関心があり、将来は海外と関わる仕事がしたいと考えているアヤさんにとって、ぜひ参加したいプログラムでした。
「50万円と聞いて、一瞬固まりました。私の高校時代は国内だったので、修学旅行にそんなにお金がかかるという感覚がなかったんです」
学校説明会や資料を確認すれば、こうした費用を事前に把握することはできます。ミサトさん自身も「確認が甘かった」と振り返ります。ただ、個々の費用を見ていたときと、すべてを家計から実際に支払っていくときでは、感じ方が違いました。
「授業料だけを見て『これなら私立でも大丈夫』と考えてしまったんですよね。制服、パソコン、定期、学校への納付金、修学旅行……全部合わせたらいくらになるのかまで計算していませんでした」
家計がすぐに立ち行かなくなるほどではありません。それでも、この先には大学進学もあります。ミサトさんは夫と相談し、自身のパート勤務を増やすことにしました。
「これまでは週3日くらいでしたが、もう少し働ける日は入るようにしました。高校3年間だけなら貯蓄を取り崩してもなんとかなると思います。でも、そのあとに大学がありますから」