(※写真はイメージです/PIXTA)
2泊6万円のホテルが、3人で約13万円に
実際にタカシさんが自分で調べ始めると、すぐに難しさがわかりました。アキコさんが早めに予約していたホテルは、夫婦2人、2泊で約6万円。
ところがシルバーウィークを間近に控え、3人で宿泊できる旅館を探すと、夕朝食付きなど義母の希望に合うところでは、2泊で13万円前後になるところもありました。宿泊費だけで約7万円増える計算です。さらに義母の新幹線代もかかります。
希望する時間帯では3人並びの席を取るのが難しい。旅館に変更すれば、夕食やチェックイン時間を考慮して観光スケジュールも組み直さなければなりません。展覧会については、当然ながらチケットの追加もできないままです。
「世帯年収1,500万円なんだから、払えない金額ではないんですよ。でも、そこじゃないんです」
アキコさんはいいます。
「最初から3人で行こうという話なら、その予算で旅行を考えます。でも私は、自分で調べて2人で6万円のホテルを取った。それをあとから『母さんも』『旅館がいいって』と言われて、数万円増えるプランを組み直してと言われても、はいそうですかとはならないですよ。」
結局、予算面でも日程面でも折り合いがつかず、義母の同行は見送られることになりました。タカシさんは「せっかく母さんを連れて行ってあげられると思ったのに」と、かなり残念そうだったといいます。アキコさんは、「だったら、別の機会に自分で企画して連れて行ってあげればいいじゃない」と伝えました。
「払えるかどうか」と「当然に負担するか」は別問題
観光庁の「旅行・観光消費動向調査」によると、2025年の日本人国内旅行における1人1回当たりの旅行支出は4万8,424円、宿泊旅行では7万2,412円でした。旅行は、同行者が増えればその分、交通費や宿泊費などの負担も大きくなります。
一方、負担はお金だけではありません。厚生労働省「令和7年版厚生労働白書」でも、家事・介護・看護・育児・買い物を含む「家事関連時間」には男女差があることが示されています。さらに、内閣府が2019年度に実施した「家事等と仕事のバランスに関する調査」では、「家族の予定を調整する」など、時間には表れにくい「家事・家庭のマネジメント」についても、妻側が担う割合が高い傾向がみられました。
旅行でも、宿や交通手段を調べて予約し、行程を組み、同行者の体調や希望に気を配るといった「段取り」が必要です。親孝行をしたいという気持ちがあっても、その費用や準備、気遣いまでパートナーが担うことを当然視すれば、負担の押しつけになりかねません。
誰がお金を出すのか、誰が手配するのか、そして誰が旅先での気遣いを担うのか。家族だからこそ、「誰かがやってくれる」を前提にせず、あらかじめ負担について話し合っておくことが大切です。
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