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予期せぬ疾病と介護の重複に直面
一括返済を実施してからわずか2カ月後、佐藤さんは定期健康診断で異常を指摘されました。
精密検査の結果、進行期の大腸がんが見つかり、即座に入院および手術が必要と診断されます。会社を休職することになり、傷病手当金が支給されるまでの間、毎月の収入が一時的に途絶えました。高額療養費制度を適用したものの、差額ベッド代や個別の医療費用など、短期間で合計約80万円の現金支払いを求められました。
さらに同時期、地方で一人暮らしをする佐藤さんの実母が自宅で転倒し、大腿骨を骨折。要介護認定を受け、退院後は介護施設へ入所することが決まります。施設への入所一時金や介護用品の購入費として、約100万円の初期費用が急遽必要となりました。しかし、手元に預金はなく、直ちに医療費や介護費用を支払うことができない事態に陥りました。
厚生労働省『医療給付実態調査』や『介護保険事業状況報告』によると、50代後半から60代にかけては生活習慣病や重篤な疾患の発症率が急増する傾向にあります。
また、生命保険文化センター『生命保険に関する全国実態調査(2人以上世帯)(2024年度)』によると、介護を開始する際にかかる一時的な費用の平均は約47万円であり、月額費用は平均9.0万円。介護期間の平均は4年を超えており、中高年層においては突発的な医療・介護支出の発生確率が著しく高まることが示されています。
「こんなことなら、急いで繰り上げ返済なんてするんじゃなかった……」
そう嘆いたところで後の祭り。手元資金が枯渇した佐藤さんは、保有株式の売却や高金利ローンでの借入を検討せざるを得なくなったといいます。
金利上昇への焦りから全預金を繰り上げ返済に充て、手元資金を失ったことが原因でした。万一に備えて、半年から1年分程度の生活費を「生活防衛資金」として現金で確保することは、各種メディアや専門家からもよく指摘されています。繰り上げ返済の検討も、生活防衛資金をしっかりと確保できていることが前提となります。