「住宅ローン完済まで辞められない」…定年後に再雇用を選んだ63歳元営業部長

ハルキさん(仮名・63歳)は昨年、40年間勤めた会社を定年退職しました。退職時の役職は営業部長で、9名の部下を従えて第一線で仕事をしていました。

2人の子どもはすでに独立しており、現在は25年前に購入した戸建てで妻のミサキさん(仮名・59歳)と二人で暮らしています。

ハルキさんは、定年後も同じ会社の再雇用制度を利用して働いています。理由は、「勝手を知った会社に残るのが安心」という思いに加え、あと4年残る住宅ローンを完済するまでは絶対に仕事を辞められない事情があったからです。

憧れのマイホームを購入した当初は「繰り上げ返済をしていけば、定年までに住宅ローンを完済できる」と見込んでいました。ところが、想定外に教育費がかかったことに加え、妻のミサキさんが一時期身体を壊して入院をするなどして医療費がかさんだことで、繰り上げ返済をする余裕が持てなくなったまま定年を迎えています。

妻のミサキさんは病気を患って以来、専業主婦となっているため収入はありません。そのため、長年にわたりハルキさん一人の収入で生活を支えています。

「勤務延長」と「再雇用」の大きな差…元部長がコピー取りの嘱託社員に

定年後の働き方としては、「勤務延長」と「再雇用」の2種類があります。「勤務延長」は、定年を迎えても退職せず勤務を延長するので、給与、役職、勤務形態など定年前と変わらないことが一般的です。

一方、「再雇用」は、一度退職手続きをして、嘱託社員や契約社員など新たな労働契約を結ぶことになります。そのため、定年前の役職から離れて、新たな役割に就くことが多くなります。

ハルキさんの会社では「勤務延長」という形ではなく、「再雇用」制度を導入していました。そのため、ハルキさんの身分は「嘱託社員」です。今後は毎年、勤務継続の意思を確認されるそうです。

とはいえ、ハルキさんの労働時間は退職前となんら変わっていません。契約上は月曜から金曜までの週5日、毎日8時間勤務です。変わったのは役職がなくなり、総務部へ配置転換になったこと。

コピー取りや簡単な資料作成ばかりを任され、やりがいのない日々が続いています。