「共働きなんだから半分ずつね」──。夫婦ともに働いているなら、生活費を折半する。一見すると、もっとも公平でわかりやすい方法に思えます。総務省「家計調査」によると、2025年の二人以上の勤労者世帯では、実収入は月平均65万3,901円、可処分所得は53万2,408円、消費支出は34万6,297円でした。共働きで一定の収入があっても、出産や育児を機に一方の働き方や収入が変われば、結婚当初に決めた「50:50」が重い負担になることもあります。東京都内に暮らす共働き夫婦の事例をみていきます。
共働きなんだから半分ずつね!〈世帯年収1,270万円〉38歳夫、産休・育休中も「生活費折半」…6年間続けた折半生活に36歳妻が疑問を抱いたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

結婚当初は「ほぼ同じ年収」だった2人

東京都内に暮らすユリさん(36歳・仮名)は、2歳年上の夫・タクヤさん(38歳・仮名)と結婚して6年になります。

 

結婚当時、タクヤさんの年収は約650万円、ユリさんは約620万円。夫婦ともに正社員として働き、収入にもそれほど大きな差はありませんでした。そこで2人が決めたのが、「生活費はきっちり半分ずつ負担する」というルールです。家賃16万円なら8万円ずつ。食費が月8万円なら4万円ずつ。水道光熱費や日用品代、旅行代なども、基本的には折半します。

 

「お互い同じくらい働いているんだから、そのほうがわかりやすいよね」

 

夫の提案に、ユリさんも納得していました。夫婦には共同口座があり、毎月決まった額をそれぞれ入金。残ったお金は各自で自由に使います。当時は、ユリさんもこの方法を「対等で合理的」だと思っていました。実際、2人とも自分の収入から貯金や趣味のお金を確保できており、生活費の折半が問題になることはほとんどありませんでした。

 

共働き夫婦の家計負担にもさまざまな方法があります。ゼクシィの調査では、夫婦で異なる割合を負担する「一部負担」が46.4%ともっとも多く、一部負担では「7:3」が最多でした。一方で、勤務時間などの条件がほぼ同じため完全折半を選んだという回答も紹介されています。

 

ユリさん夫妻も、まさに後者でした。少なくとも結婚当初は、夫婦の働き方も収入も近く、「50:50」に大きな違和感はなかったのです。

産休・育休に入っても「50:50」はそのまま

状況が変わったのは、ユリさんが34歳で妊娠してからです。産休・育休に入れば、それまでと同じようには働けません。

 

厚生労働省によると、育児休業給付金は原則として、育児休業開始から180日までは休業開始前賃金の67%、181日目以降は50%です。また、2025年4月からは、一定の要件を満たして夫婦ともに育休を取得した場合、出生直後の最大28日間について、通常の育児休業給付と合わせて給付率80%、手取り10割相当となる「出生後休業支援給付金」も始まりました。

 

とはいえ、育休期間を通して、働いていたころと同じ収入が保証されるわけではありません。そこでユリさんは夫に尋ねました。

 

「育休に入ったら、家計に入れる金額を少し減らしてもいい?」

 

するとタクヤさんは、「でも育休の給付金は出るんでしょ?」と答えました。そして、「家賃も食費も半分ずつなんだから、今まで通りでいいんじゃない?」と言ったそうです。

 

ユリさんは少し引っかかりました。しかし、結婚以来ずっと折半でやってきたこともあり、「一時的なことだし、足りなければ貯金から出せばいいか」と考え、生活費の負担額を変えませんでした。