(※写真はイメージです/PIXTA)
目標達成目前から一転…1ヵ月のあいだに起きた悲劇
買い付けから半月後、ケイスケさんの見立てに反して株価はズルズルと値を下げていきました。
少し不安になったものの、「一時的な調整に過ぎない」というネットの情報を信じ、下げ止まったタイミングで残りの全額を追加で投資しました。
ところが、それを待っていたかのように、株価はさらに勢いを増して下落をしていきます。下がり続ける画面を前に、ケイスケさんはどうしていいかわからなくなりました。インデックス投資のときも株価の下落は経験していましたが、ここまで急激な下げは初めてだったからです。
売るに売れず、ただ指を咥えて画面を眺める日々が続きました。彼が泣く泣く売却したのは、株価が半値になり、これまで10年間の投資で得た利益がすべて溶けたタイミングでした。
個別株に切り替えてから、わずか1ヵ月間の出来事です。
1ヵ月前には、目標額にあと一歩というところまで迫っていた資産。しかしいまや、資金はその半分となり、800万円へと減少しました。10年にわたって積み立ててきた元金と同等の水準まで戻ってしまったのです。そして皮肉にも、解約したインデックスファンドはその後も順調な値上がりを続けていました。
「くそぅ……。なんてバカなことをしたんだ……」
行き場のない想いを一人で抱え、仕事も手につかず、家庭でも暗い顔をしてふさぎ込むケイスケさん。妻が「最近元気がないけど……大丈夫?」と心配します。
黙っていようと思っていたものの、本気で案ずる妻に嘘はつけず、事の顛末をすべて打ち明けました。怒られ、呆れられると覚悟していましたが、妻から返ってきたのは意外な言葉だったのです。
「損したわけじゃないよね。それに、定年まであと何十年もあるじゃない」
妻は責めるどころか呆れることもありませんでした。それどころか、これまで運用をケイスケさん一人に任せていたことを詫び、深みにはまる前に手を引いた判断を感謝してくれました。
妻の言葉に救われたケイスケさんは、今回のことは「いい経験だった」と思いなおし、次第に元気を取り戻していきます。そして今回の件を機に、今度は夫婦二人で話し合い、新NISAを使って、最初に運用していたインデックスファンドへの長期投資を再開しました。
投資の「目標金額」や「達成時期」は目安程度に留めるべき理由
ケイスケさんは目標額と期間にとらわれるあまり、投資初心者が長期・分散で資産を増やすのに最適な投資スタイルを踏み外し、運の要素が強い短期投資に手を出して失敗しました。
投資を行う際、「老後資金の確保」などの目的を決めることは、継続のモチベーションになるため悪いことではありません。しかし目標金額や達成時期は目安程度に考えておいたほうが無難なのです。その理由は二つあります。
一つは目標額にとらわれ過ぎると、ケイスケさんのように焦って人気のテーマ株やあるいはレバレッジのかかった商品などに手を出し、帳尻を合わせようとしがちだからです。同じ投資でもインデックスへの投資と個別株、FXなどのハイリスク商品への投資に求められる投資スタイルは別物です。身丈に合わない手法へ急転換することは、大きな損失を招く要因となります。
二つ目は、インフレ下では長期で目標額の価値が下がるからです。仮に、インフレが毎年3%で進行すると、24年後の目標額の価値は半減してしまいます。目標額を達成しても価値が半減していれば老後資金が足りない、なんてことになりかねず、それが焦りや不安を招き、無理な投資に走る可能性を高めるでしょう。
焦りや不安といった感情は正確な判断力を奪い、誤った判断につながりかねません。失敗する確率が上がってしまいます。投資家はくれぐれも目標金額と到達時期に振り回されず、自身の知識や経験、スキルを踏まえた投資スタイルを継続することが成功の鍵であると考えます。
凡人投資家Gekko(ゲッコー)
サラリーマン兼業個人投資家
【注目のセミナー情報】
【最新・法人決算対策】9月17日(木)オンライン開催
公認会計士が監修!
「短期償却」で手元キャッシュを大きく残す不動産活用
【物販事業】9月26日(土)オンライン開催
月額30万~50万円の利益を狙う!
オマカセ型「物販事業運用スキーム」とは?