※写真はイメージです/PIXTA
減り続けた預金と、母の後悔
夫が亡くなった時点で、節子さんには約1,800万円の預貯金がありました。ところが、浩二さんとの生活が続くなかで、預金残高は減っていきます。
ある日、記帳を終えた通帳を見て、節子さんは動けなくなったといいます。
残高は、300万円ほどまで減っていました。
「1万円、2万円、5万円と渡していたら、いつの間にかこうなっていた」
ボロボロになった通帳を握りしめながら、節子さんは泣いたそうです。
「私が甘やかしたからだと思いました。かわいそうだと思って、ずっと助けてきたから……」
一方、浩二さんに預金の残高を伝えると、反応は冷たかったそうです。
「じゃあ、これからどうするの? 俺だって困るんだけど」
その言葉を聞き、節子さんは初めて強い怒りを感じました。
「困るのは私ですよ。81歳の私が、どうして52歳のあなたの心配までしなきゃいけないのか」
それ以来、浩二さんとほとんど口をきいていないといいます。そのようななかでも、お金が必要なときには「母さん、金」と言ってきます。以前であれば、2万円、3万円と渡すでしょう。しかし今は、1,000円、2,000円という世界に。
「2人分の生活費、そして息子への小遣い含めて、年金だけで賄う。絶対にこれ以上、預金には手を付けない。決めたんです」
浩二さんは以前よりもアルバイトに行く機会が増えたといいます。
「息子なりに、私がいなくなったあとの人生を考えるようになったんじゃないですか。この家を売ったところで二束三文にもならないでしょうし」
節子さん自身も、今後の医療費や介護費への不安を抱えています。
「何だかんだ言って、いまだにちゃんと線引きができていない。息子をダメにしたのは、私なんです」
前出の調査によると、日常生活などに困難を経験した40〜69歳のうち、実に74.4%がその状態から「改善した経験がある」と回答しています。改善のきっかけ(複数回答)としては、「家族や親戚の助け」(41.9%)のほか、「時間がたって状況が変化したこと」(41.4%)が多く挙げられています。
また相談窓口に求めることとして「同じ悩みを持っている(いた)相手」(41.5%)や「無料で相談できる」(35.0%)ことが上位となっています。
親だけで抱え込まず、当事者に寄り添う公的支援機関や専門窓口へ早期に相談し、つながることが、関係性や生活改善への確かな一歩となります。