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52歳の息子に生活費を渡す母
「今月も、あと3万円だけ渡してくれない?」
そう言われるたび、佐藤節子さん(81歳・仮名)は財布を開いてきました。
東京郊外の一戸建てで、52歳の長男・浩二さん(仮名)と暮らしています。夫は12年前に亡くなりました。節子さんの収入は、月約16万円の年金のみ。自宅は持ち家で、月の生活費は10万円を超えます。そこに浩二さんの生活費が加わりました。
浩二さんは大学卒業後、会社員として働いていました。しかし、30代半ばで退職。職場の人間関係に疲れた……というのがその理由。精神的に落ち込んでいたので、しばらく実家でゆっくりしたほうがいい。そう考えて、実家に戻るように促したのは節子さんでした。
「最初は、本当に一時的な対応のつもりだったんです。気持ちが落ち着いたら、仕事を探すだろうって……」
実家に戻ってからしばらくすると、落ち着いているように見えました。しかし仕事探しをしているようには見えませんでした。
「また精神的に落ち込んだらどうしよう――そう思うと、強く言うことはできませんでした」
その後、浩二さんは短期間のアルバイトをすることもあったといいますが、生活費を家に入れることはありませんでした。一方で、節子さんは月に5万円、6万円と渡すこともあれば、急な出費を理由に10万円近く渡すこともあったそうです。
もちろん月16万円の年金だけでは足りず、預金を取り崩すようになりました。
内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査』によると、40〜64歳のひきこもりは全国で推計61万3,000人。このうちひきこもり期間が「7年以上」の人が約5割を占め、暮らし向きを「下」と答えた人は3人に1人、主に生計を支えるのが「父母」であるケースも34%に達しています。
高齢の親が中高年の子を経済的・精神的に支える「生活の長期化と困窮化」は、社会全体の深刻な課題といえるでしょう。