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定年後、資産運用を始めて変わった意識
現役時代は仕事を優先してきました。多忙を極め、また子どもの教育費や住宅ローンの返済を優先し、夫婦で旅行に行くこともなかったといいます。「定年を迎えたら、ゆっくりどこかに行こう」と話し合っていましたが、いざその時を迎えても、そうした話題が出ることはありませんでした。
「現役時代以上に、お金を使うことに抵抗感があったんです」
そんなとき、ふと、「私が退職したら、何かしたかったことはある?」と妻に聞いた斎藤さん。妻は「そうね……」と言ったのち、「北海道にでも1ヵ月くらい行ってみたかった。あなたは忙しくて、旅行といっても1泊2日が精いっぱいだったから」と続けました。
そこで夫婦は、まず北海道旅行を叶えることに。長期滞在のできるコンドミニアム、2人で1泊2万円、宿泊費だけで計60万円をかけました。交通費も含めると、100万円を軽く超えました。
さらに毎年、1ヵ月とはいかなくても、ゆっくりと旅行をすることに決めました。今度はどこに行こうか――そんな会話により、夫婦一緒の時間が増え、「結婚以来、今が一番仲が良い」という状態になったそうです。
「無駄遣いをしようというわけではありません。でも投資を始めてから、むしろお金を使うようになり、人生が変わりました」
投資を始める前は、お金を使うことが怖かった。投資だって、お金が減るリスクがある。しかし、長期的に見れば、資産は増える可能性もある――許容できるリスクを取るようになってから、“これくらいなら使っても問題ない”という基準ができたといいます。
年金が生活のベースとなる斎藤さんにとって、退職金は、これからの暮らしを支える大切な資金です。だからこそ、投資に回すお金と、生活に使うお金を分けることが重要だといえるでしょう。
「新NISAを始めたことより、お金の使い道を考えるようになったことのほうが大きかったです」
金融経済教育推進機構『家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯調査)』によると、世帯主が60代の世帯における新NISAの平均保有額は、つみたて投資枠が123万円、成長投資枠が212万円。また、同調査の60歳以上の世帯において、老後の生活資金源(複数回答)として「金融資産の取り崩し」を挙げた割合は28.8%、「利子配当所得」は14.7%に上ります。
退職金という大切な資産をただ銀行に眠らせるのではなく、新NISA等の制度を活用して賢く「守りながら使う」という投資行動は、これからの豊かな老後生活を支える現実的な選択肢として定着していきそうです。