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理論上、厚生年金の上限は「30万円強」
現在の4人家族の生活費は、住宅ローンなどを含めて月45万円前後。ボーナスから固定資産税や車の維持費、旅行費用などをまとめて支払っています。子どもが独立すれば教育費はなくなります。
一方で、住宅ローンは残ります。仮に65歳まで働いて住宅ローンを完済できたとしても、老後には管理費や修繕積立金、固定資産税が残ります。
佐々木さんは電卓を取り出しました。
「食費が6万円。光熱費が3万円。通信費が2万円。保険が2万円……」
とても20万円では収まりそうにありません。しかも、これは現在の制度や加入状況などを前提にした見込額です。日本年金機構も、「ねんきん定期便」の金額は将来の受給額を保証するものではなく、今後の制度改正や加入状況などによって変わると説明しています。
「年収1,280万円もあるのに、老後は月20万円なのか……」
厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、老齢厚生年金(厚生年金保険・第1号)の平均受給額は、基礎年金含めて15万289円。男性に限ると16万9,967円。また受給額の分布を見ていくと、月20万円以上を受け取っているのは13.6%(繰下げ受給者含む)。佐々木さんの想定受給額は、高水準といえるでしょう。
老齢厚生年金の受給額は、平成15年4月以降、「平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入期間月」で算出されます。
平均標準報酬額とは、厚生年金や共済年金に加入していた期間中の「標準報酬月額」と「標準賞与額」の合計を、加入期間の月数で割って求めた平均額で、標準報酬月額の上限は現在65万円(32等級)です。また、厚生年金に加入できる期間は15歳〜70歳未満となっています。
つまり受給額には上限があり、理論上は30万円強(繰下げ受給をしない場合)。しかも、中学校を卒業した直後から70歳まで高給取りであることが条件です。高給取りほど年金の受給額は高くなりますが、上限がある――その結果、佐々木さんのように「こんなに稼いでいるのに……」という思いをする人が多いのが実情なのです。
「年金の受給額がこんなに少ないとは知りませんでした。でも、早く気づいてよかった。定年まで10年、65歳までは15年あります。準備期間としては十分です」