夫婦2人の年金は月23万円。贅沢をしなければ暮らしていけるものの、43歳の一人娘・恵美さん(仮名)が気になるのは、両親がこの先も元気に暮らせるかどうかです。内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、75~84歳では要介護認定を受けている人が11.6%。実家で目にした78歳父の「ある姿」をきっかけに、恵美さんは老後のお金と健康について考えるようになりました。
お父さん、やばいよ…〈年金月23万円〉で不自由なく暮らす老夫婦だが…43歳一人娘がコンビニで見た〈78歳父の姿〉にゾッとしたワケ ※写真はイメージです/PIXTA

実家でいつも動いている75歳母

恵美さんは東京都内で働く43歳の会社員です。一人娘で、実家は群馬県。比較的行き来しやすい距離ということもあり、ときどき両親のもとへ帰っています。

 

実家でいつも忙しく動いているのが、75歳の母です。もともと料理が好きで、台所仕事も苦にならないタイプ。娘が帰ってくるとなれば、「何食べたい?」とうれしそうに聞き、何品も料理を並べてくれます。

 

一方、78歳の父はというと、食卓に座ったまま。

 

「醤油取って」
「お茶もらえる?」

 

すぐ手を伸ばせば届きそうなものでも母に頼むことがあります。

 

「自分で取ればいいじゃん」

 

恵美さんが注意しても、母は「いいのよ、お父さんは昔からこうだから」と笑います。

 

母自身、家事をするのが嫌いなわけではありません。父にあれこれ世話を焼くことも、長年続いてきた夫婦の形なのでしょう。

 

そのため恵美さんも、以前はそれほど深刻に考えてはいませんでした。

 

「昭和のお父さんって、こんなものなのかなと思っていました」

 

しかし、最近になって少し見方が変わってきました。

 

「あれ? ちょっとやばいかも」父とコンビニに行って目撃した光景

ある日、父と2人で歩いて5分ほどのコンビニへ行くことになりました。父は「アイスを買ってあげるからな!」と嬉しそうに車の鍵を手にしました。

 

「え、こんな近いのに車で行くの?」

 

恵美さんが驚くと、父は「車のほうが早いだろ」と答えます。

 

「歩いて5分なんだから、歩いて行こうよ」

 

半ば強引に誘い、2人で歩いて向かうことにしました。そしてコンビニに着いた直後のことでした。

 

店内を歩いていた父が、床につまずいたのか、前につんのめるようによろけたのです。転倒こそしませんでしたが、恵美さんはヒヤッとしました。

 

「お父さん、やばいよ」

 

思わず、そんな言葉が口から出ました。

 

父は「ちょっとつまずいただけだよ」と笑いましたが、恵美さんには、どうしても「ちょっと」には思えませんでした。

 

振り返れば、父が日常生活で歩く姿をあまり見ません。近所への移動にも車を使う。家の中では母が身の回りのことをやってくれる。

 

「もしかして、お父さん、かなり動かなくなっているんじゃないか」

 

そこで恵美さんの頭に浮かんだのが、「フレイル」という言葉でした。