「前と同じようにバリバリ任せるべきか」「急な休みに備えて簡単な仕事に抑えるべきか」――。育休・産休から復帰した部下を迎える際、多くの管理職が仕事の任せ方に頭を悩ませます。お互いに「よかれと思って」取った行動が、かえってすれ違いを生んでしまうケースも少なくありません。本記事では、吉田直実氏の著書『中間管理職の生存戦略 自分の「思い込み」に気づき最適解を見つける本』(ごきげんビジネス出版)より、育休・産休から復帰した部下への対応についてみていきましょう。
「戦力外にされた気分です…」育休・産休から戻った部下に雑務だけを任せた上司、〈配慮のしすぎ〉が生むジレンマ (※写真はイメージです/PIXTA)

育休・産休から復帰した部下、どの程度仕事を任せるべきか

育休・産休から復帰した部下がいると、上司は嬉しさと同時に、仕事の任せ方に悩みます。「前と同じようにバリバリ任せていいのか」「急な休みもあるかもしれないから、責任の重い仕事は避けるべきか」「ほかのメンバーとの公平感はどう保つか」……。

 

本人も「迷惑をかけたくない」「キャリアはあきらめたくない」「でも子どもの体調も読めない」と、揺れ動く中で復帰しています。

 

その結果、過剰に配慮して「簡単な作業ばかり任せてしまう」ケースもあれば、逆に配慮が足りず「復帰直後からフルスロットル」を求めてしまうケースもあります。どちらも悪意はなく、「よかれと思って」の行動だからこそ、すれ違いが起こりやすく、あとからしこりになりやすいテーマです。

 

法律や制度だけでは割り切れない、現場の温度感と人間関係が色濃く反映される、正解のない悩ましい問題です。さあ、あなたなら、どうする!?

事前に面談、制度を活用…上司が取れる「5つ」の選択肢

1.事前に復帰面談を行い、制約と希望をすり合わせる(対話設計型)

メリット:本人の事情と意向を踏まえて、無理のない復帰プランをつくりやすい。

デメリット:面談の準備や相応の時間が必要で、上司・本人ともにエネルギーを要する。

注意点:「どこまでがんばれるか」ではなく、「どんな条件なら無理なく力を発揮できるか」と、責めずに聞き方を工夫する。

 

2.段階的に仕事の量と難度を上げる(ステップアップ型)

メリット:心身のペースを見ながら、徐々に元の水準へ戻していける。

デメリット:曖昧にはじめると、いつまでも軽い仕事のまま固定されるおそれがある。

注意点:「3か月後には、このレベルの案件を」「半年後に、このポジションに戻す」など、目安時期と到達イメージを最初に共有する。

 

3.時短勤務や在宅勤務などの制度を最大限活用する(制度活用型)

メリット:働き続けるハードルを下げ、離職リスクを減らせる。

デメリット:ほかのメンバーの負担が一時的に増え、納得感を損なう可能性がある。

注意点:制度の趣旨とチーム全体への影響をオープンに説明し、負荷の偏りを見える化して調整する。

 

4.チーム単位で業務とナレッジをシェアする(チームサポート型)

メリット:子どもの体調不良などで急な休みが出ても、カバーしやすい体制になる。

デメリット:引き継ぎや情報共有の工数が増え、短期的には非効率に感じられる。

注意点:担当・バックアップ・最終責任者を明確にし、「誰が何を知っているか」を見える化する。

 

5.評価軸を「時間の長さ」から「成果・貢献」にシフトする(評価設計型)

メリット:時短勤務でも、納得感のある評価・処遇を行いやすくなる。

デメリット:成果や貢献の定義、指標づくりに手間がかかる。

注意点:本人とチーム双方に「評価の考え方」を言語化して共有し、誤解を減らす。