内閣府の『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』によると、75〜79歳の約1割が、周囲から物忘れがあると言われていることがわかっています。離れて暮らす高齢の親を案じて「見守りカメラ」の設置を検討する家族がいる一方で、拒絶され関係が悪化してしまうケースも少なくありません。都内で働く52歳長女も、一人暮らしの78歳母にカメラを提案したものの「絶対にイヤ!」と拒絶され、疎遠になっていました。しかし1年後、お盆に帰省した長女は、言葉を失う〈まさかの光景〉を目撃することに……。
絶対にイヤ!…「見守りカメラ」を拒んだ年金月12万円・78歳母。1年後、お盆の帰省で52歳長女が言葉を失った〈まさかの光景〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

1年ぶりの帰省…玄関を開けて言葉を失った〈まさかの光景〉

生ゴミの悪臭が充満し、玄関から廊下、リビングに至るまで、大量のゴミ袋や段ボールなどが積み上がっていたのです。

 

実は、トモヨさんは認知機能が低下し始めており、ゴミの収集日や分別がわからなくなっていました。

 

内閣府の『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』によると、トモヨさんの年代である75〜79歳の高齢者のうち、周囲から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われると回答した割合は9.1%、80〜84歳で14.2%にのぼります。

 

さらに、「今日が何月何日かわからない時がある」と回答した割合は、75〜79歳で17.1%、80〜84歳では22.6%に達しています。70代後半は、認知機能の低下がいつ始まってもおかしくない年齢であることが読み取れます。

 

トモヨさんは一人暮らしの寂しさと不安を紛らわすかのように、近所のコンビニやスーパーで必要以上に食品や日用品を買い込み、そのまま放置するようになっていたのです。床には食べ残しが散乱し、害虫も発生していました。

 

あまりの不衛生さに、マキさんはトモヨさんをそのまま置いておくわけにはいかず、急きょ都内の自宅へ連れ帰りました。そして実家の片付けを専門の清掃業者に依頼したのですが、その見積もり額に再び絶望することになります。

 

トラック数台分のゴミ撤去に加え、害虫駆除などの特殊清掃、フローリングや壁紙の張り替えを合わせると、費用は総額で約200万円にのぼりました。

ただのゴミ捨てと原状回復で、「老後資金200万円」が吹き飛ぶ

実家のゴミ捨てと原状回復だけで、トモヨさんの貯金から200万円が消えてしまいました。

 

「母の老後資金だったのに……」と、マキさんは肩を落とします。

 

家の清掃をしたことで、トモヨさんの預貯金は600万円まで減ってしまいました。将来、いよいよ在宅介護が難しくなったときに施設探しの費用として使うはずだった大切なお金です。さらに実家の修繕が終わるまでの間、マキさんは認知機能が落ち始めたトモヨさんの世話をしながら、都内のマンションで同居を続けることになりました。

 

生命保険文化センターの『生命保険に関する全国実態調査(令和6年)』によると、世帯主や配偶者が要介護状態となった場合、公的介護保険の範囲外(住宅改造や一時的な介護用品の購入など)で必要となる初期費用の平均額は209万円とされています。

 

トモヨさんが家の清掃や修繕に費やした200万円は、本来なら介護初期費用として備えておくべき平均額に匹敵します。

 

親が遠隔介護を拒絶した場合は、無理強いせずに別の見守りの形を探すことも大切です。地域の民生委員による定期的な見守り活動を活用したり、地域包括支援センターに相談して適切な介護サービスを導入するなど、人の目を介したサポート体制を築く方法もあります。

 

マキさんは、「意地を張らずに、早く相談していればよかった」と後悔を抱えながら、同居生活を送っています。

 

[参考資料]

・内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」

・生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(令和6年)」

 

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