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72歳・父からの緊急電話…国が俺の銀行口座を奪おうとしている!
「大変なことが起きた! 国から『年金の口座を寄こせ』って意味のわからん書類が届いた。拒否しなきゃ年金を勝手に搾取されるかもしれないぞ!」
都内で働く40代の会社員・高橋さん(仮名)のスマホに、実家で暮らす72歳の父親から興奮した様子の電話がかかってきました。
父親は現役時代、地元の建設会社で勤め上げ、現在は月約17万円の老齢年金を受給しながら、趣味の家庭菜園を楽しむ穏やかなシニアライフを送っています。そんな父が、声を荒らげて動揺しているのです。
詳しく話を聞いてみると、ポストに厚生労働省とデジタル庁の連名で簡易書留が届いたとのこと。中に入っていたのは『年金振込口座の公金受取口座登録に関する移行確認書』という、おどろおどろしい漢字が並ぶ1枚の書類でした。
ニュースやネットのうわさ話を鵜呑みにした父親は、「マイナンバーと銀行口座を強制的にひもづけて、預金を国に監視・徴収されるに違いない!」と思い込み、パニックに陥っていたのです。
「とりあえず落ち着いて。週末に実家へ行くから、書類を見せて」
そう伝えた高橋さんは、その週末、妻と子どもを連れて実家を訪れました。テーブルの上には、開けられた簡易書留と、シワの寄った書類が置かれています。父親は「自分はマイナンバーカードなんて作っていない! カードもないのに勝手に口座を紐づけるなんて違法じゃないのか!」と息巻いていました。
高橋さんはスマートフォンを取り出し、デジタル庁や厚生労働省の公式サイト、さらには信頼できるニュース機関の解説をひとつずつ確認しながら、父親の「大きな勘違い」を紐解いていくことにしました。
1つ目の誤解は「マイナンバーカードを持っていないから自分には関係ない」という思い込みです。実は、12桁のマイナンバー(個人番号)自体は、カードを作っていなくても日本に住民票がある全住民にすでに割り振られています。今回の案内は、カードの所持・未所持にかかわらず、65歳以上の年金受給者全員に関わる重要な手続きだったのです。
2つ目の誤解は「資産や口座残高が国に監視される」という恐怖心でした。公金受取口座登録で行政が把握するのは、給付金の振込に必要な「金融機関名・支店名・口座番号」という最低限の情報のみ。通帳の残高や日々の入出金履歴が国に見られるような仕組みは一切存在しません。
そして、最も父親を恐怖させていた3つ目の誤解が「放置すれば今の年金振込口座が奪われる」というものでした。しかし真実は正反対です。この手続きは、給付金や還付金の受け取りをスムーズにするため、現在年金を受け取っている口座を「災害時などの給付金用口座としても使えるようにしますか?」という確認に過ぎなかったのです。
しかし、解説を読み進めた高橋さん。父親のパニック自体は誤解に基づいたものでしたが、この制度にはもうひとつ、重要なルールが隠されていることに気がつきました。