(※写真はイメージです/PIXTA)
20年前の身の丈に合った決断
都内の企業に勤めるコウジさん(仮名/49歳)は、現在、パート勤務の妻と高校生の息子の3人で暮らしています。当時の月収は約32万円(賞与別)。贅沢ができるわけではありませんでしたが、家族3人が穏やかに暮らせる生活基盤を整えてきました。
コウジさんが現在住んでいるマンションを購入したのは、いまから約20年前のことです。当時、30歳手前だったコウジさんは家族の将来を見据えて持ち家の購入を検討しはじめました。しかし、人気の山手線沿線やブランド力のあるおしゃれなエリアは、その後の昇格により給与増を見込めるものの、当時のコウジさんの年収では到底手が出ない高嶺の花でした。
そこで物件探しを始めたのが、結婚前に現在の妻と同棲しているときに住んでいたエリア。23区内に位置しながらも都心からはやや距離があり、これといった商業施設もない区でした。駅近であること、近くに寂れながらも商店街があり、食費が安く済むことが一番の魅力でした。
コウジさんは現実的な予算と、子どもが生まれても生活に不自由しない広さを優先。約4,000万円で販売されていた新築のファミリータイプマンションを、頭金を入れ、35年の住宅ローンを組んで購入したのです。当時は毎月の返済に追われながらも、「これで家族の住まいが確保できた」と胸を撫でおろしていました。
築20年、売りに出された隣室の「驚愕の値段」
月日は流れ、購入から約20年が経過しました。建物自体もそれなりに年数が経ち、何度か管理費や修繕積立金の高騰を経験しながらも暮らしてきたコウジさん一家。そんなある日、同じフロアの隣室が空室になり、売り出し物件として不動産サイトに掲載されているのを目にしました。間取りも広さも、コウジさんの部屋とほぼ同じ条件の部屋です。そこに書かれていた販売価格を見たコウジさんは、思わず目を疑いました。
「7,200万円……?」
購入当時、約4,000万円だった部屋と同等の物件に、購入時の約1.8倍に相当する値段がついていたのです。20年近く築年数が経過し、建物としても決して新しくはないはずの部屋が、新築時を遥かに超える高値で売り出されている現実に、激しい衝撃を受けました。
「このエリアの築20年の物件に7,000万円以上なんて、一体この価格で誰が買うんだ……?」あまりの価格設定に、驚きを通り越して呆然とするばかりでした。