将来への不安から新NISAを活用した資産形成に注目が集まる一方、物価高による家計の圧迫は年々深刻さを増しています。総務省の「家計調査報告(2025年平均)」によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の実収入は名目で前年比増加しているものの、物価変動の影響を除いた実質では前年比0.9%の減少となっており、額面が増えても実際の生活のゆとりは削られているのが現実です。こうした状況下で、家計改善の第一歩として見直しの対象になりやすいのが、日々のカフェ代やペットボトル飲料代といった、無意識に使いがちな少額の支出――いわゆる「ラテマネー」です。今回紹介するのは、都内に住む20代の共働き夫婦の事例です。毎朝のスタバ代を巡って夫婦間で、激しい議論が繰り広げられることになりました――。※事例の人物名はすべて仮名です。
540円のカフェラテを買って毎朝出勤する〈手取り25万円の27歳妻〉…マイ水筒を持参する〈手取り31万円の28歳夫〉から「その分でNISAしよう」と詰められた夜 (※写真はイメージです/PIXTA)

「節約の正論」と「日々のQOL」をどう両立させるか

「ラテマネーの削減」と「NISAによる資産形成」は、マネーリテラシーの観点からは合理的で正解に見えます。しかし、感情や生活スタイルを持つ人間にとって、日々の活力や睡眠時間、楽しみを削った極端な節約は長続きせず、夫婦間の不満を溜め込む原因にもなります。

 

こうした価値観の衝突を防ぎ、将来への備えと現在の生活の質を両立させるためには、どうすればよいのでしょうか。

 

まず、出勤時や外出時のラテマネーを無意識に流してしまう無駄遣いなのか、自分のやる気を引き出すための「投資的支出」なのかを見極めることが重要です。仕事の活力や睡眠の確保につながっているなら、頭ごなしに否定するのは逆効果になります。

 

また、日々のコーヒー代という変動費を削る前に、スマホの通信プラン、使っていないサブスクリプション、保険料などの「固定費」を先に見直してみましょう。固定費で月1万円浮かせることができれば、毎朝のラテを諦めずにNISAの積立額を確保できます。

 

夫婦それぞれの「お小遣い(自由費)」を設定し、その範囲内であれば使い道やお互いのタイムパフォーマンスの価値観に口を出さないというルールを作るのも効果的です。「お小遣いのなかでやりくりするならラテを買おうが自由」とすることで、互いにストレスを感じずに済むかもしれません。

 

さらに、「毎日買う」か「完全にやめて水筒にする」かの二者択一ではなく、「週に2回だけのご褒美にする」「タンブラーを持参して割引を受ける」「月5,000円だけ追加でNISAに回す」といった柔軟な折衷案を夫婦で探ることが大切です。

 

資産形成は「いまと将来の双方を豊かに生きるため」の手段であり、目的そのものになって現在の生活から彩りを奪ってしまっては本末転倒です。将来の夢と日々の快適さの双方が成り立つよう、互いの価値観を尊重し合いながら納得できる着地点を見つけてはいかがでしょうか。

 

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