(※写真はイメージです/PIXTA)
「元気な顔が見られればそれだけでいい」はずだったが…
地方の自宅で暮らすミチさん(71歳)と夫のマサオさん(73歳)。二人の公的年金受給額は合わせて月約19万円です。現役時代にコツコツ貯めてきた蓄えはあるものの、70代に入り、病院にかかる機会が増えました。これからの医療費や介護費用、加えて古くなった自宅の維持費などを考え、日々の暮らしは計画的に、質素に整えています。
息子が結婚して孫が生まれて以降、お祝い金を送るのは入学や卒業といった人生の節目に留めていました。それでも、お盆の時期には東京から帰省してくる息子・トモヤさん家族を温かく迎えようと、孫二人分のお盆玉1万円ずつをポチ袋に包んで準備。「元気な顔が見られればそれだけでいい」——そう思って待っていたミチさん夫婦でしたが、帰省当日に広がったのは思わぬ不穏な空気でした。
過去やほかの家庭と比較される疲れ
数年前までは、帰省のたびにミチさんが腕によりをかけて手料理を何品も振る舞っていました。しかし、年を重ねて体力が落ちたこともあり、エアコンが効きづらい台所での料理は大きな負担になります。そのため最近では、近所のスーパーでパック寿司や惣菜を購入し、食卓に並べるようになっていました。
しかし、食卓についたトモヤさんと孫たちの反応は、ミチさん夫婦の心を重くさせました。
「あー母さんの手作り料理、楽しみにしてたのに」
トモヤさんがポロリと漏らした不満に続き、小学生の孫からも追い打ちがかかります。
「えー、今日はお店行かないの? 友達のおばあちゃん家では昨日うなぎ食べたっていってたから、うちも外で食べるのかと思った」
当たり前のように渡したお盆玉に対しても当たり前のように受け取られ、目の前の食事やもてなしに対する小さな不満がポツリポツリと漏れ出します。「スーパーのパック寿司でなにが悪いのか」「外食に連れ出さなければ十分ではないのか」と、ミチさんとマサオさんの胸には深い疲労感と割り切れない思いが込み上げました。