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どんなに泣いても「絶対買わない」
ちょうどその頃、近所の友人から孫との関係について相談を受けました。
「昔は喜んでくれていたのに、今は買ってもらうのが当たり前になってしまった」
その話を聞いたとき、美智子さんは他人事とは思えませんでした。我慢することを覚える機会を奪っていたのかもしれない――そう思った美智子さんは、「もう、泣いても買わない」と決断します。
そして数週間後、家族でショッピングモールへ出かけた日のことでした。孫はおもちゃ売り場で、1万円近くするブロックを見つけました。
「おばあちゃん、これ買って!」
美智子さんは、首を横に振りました。
「今日は買わないよ」
「誕生日でもクリスマスでもないからね」
すると、孫は大声で泣き始めました。
「買ってよ!」
その場に座り込み、動かなくなります。以前なら、美智子さんは周囲の目も気になり、すぐに買っていたかもしれません。しかし、この日は違いました。うろたえ気味に見ている娘に対し、「泣いているなら、泣かせておけばいい」と言い放ちました。
「泣けば買ってもらえるって覚えてほしくないの」
「この子のために、今やめないといけないと思ったの」
孫はしばらく泣き続けました。しかし、その日は何も買わずに帰りました。もちろん、すぐにすべてが変わったわけではありません。次に会ったときも、おもちゃを欲しがりました。それでも美智子さんの決意は固いものでした。
買うのは誕生日や特別な日だけ。
普段は一緒に遊ぶ時間を大切にする。
家族で決めたルールを続けました。孫は以前ほど強く要求しなくなりました。「今日は見るだけ」と、自ら言うことも増えたといいます。
「孫がかわいい気持ちは変わりません。でも、何でも買うことが愛情ではないと思うようになりました」
内閣府『令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』によると、生きがいを感じる瞬間に「孫など家族との団らんの時」を挙げる人が55.3%に達し、多くの高齢者にとって孫との交流が大きな精神的支えとなっています。一方、『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、今後優先的にお金を使いたい使途として「子や孫のための支出」を挙げた人は25.8%。また、実際に子や孫の生活費を「負担している」高齢者は25.2%存在します。
孫をかわいく思うあまり金銭的支援が過度にならないよう、美智子さんのように家族間で適切な一線を画すルールを設け、物ではなく時間や対話を通じた深い絆を育む姿勢が大切です。