「心配で、心配で…」土曜の早朝、血相を変えてアパートに現れた母

翌日は土曜日でした。仕事の疲れを癒すべく、「今日は昼過ぎまで寝る」と熟睡していたユウキさんでしたが、意識の遠くでインターホンの音が鳴り響いています。あまりのうるささに目を覚ますと、自分の部屋のインターホンのようです。

「なんだよ、朝から……誰?」

モニターを覗くと、なんとそこには、大きな荷物を抱えたナオミさんが立っていたのです。急いでドアを開けると、ナオミさんは息子が変わらずそこにいることに大きく安堵した様子で一気にまくし立てます。

「丸2日も連絡取れないから心配したじゃない。あ~よかった、生きてた……! 第一便の飛行機で来ちゃったわ。心配で、心配で……」
「ユウキの好きなものいっぱい持ってきたからね。あんた起きたばっかり? じゃあ朝ごはん作るから。ちょっと待ってて」

ユウキさんは、予告なく突然現れた母親にドン引き。

「……母さん、いい加減にしてよ。こんな朝早く……。俺もう大人だよ? もう、ほっといてくれ」

荷物を抱えてワンルームにあがり込む母の背中に、冷たく言い放ちました。

【CFPの助言】「守る存在」から「見守る存在」へ…親に必要な役割転換

FPは家計相談だけでなく、ライフプラン全体を支援する専門家としての役割も担います。この事例では、子どもはすでに経済的自立への一歩を踏み出している一方、母親は精神的な子離れができていないという問題を抱えています。

離れて暮らす子どもが「ちゃんと食べているか」「生活や仕事で困っていないか」など、心配が募りなにかしてあげたくなる気持ちはわかります。毎日連絡を取り合っていた子どもから返信がない、既読にもならないとなれば「なにかあったのでは」と不安が膨らみ、ネガティブな想像が広がることもあるでしょう。

しかし、度を越した「過干渉」は、かえって子どもの心を遠ざけてしまいます。

ユウキさんはすでに一人暮らしをし、自立した生活を送っています。したがって、親の役割は「守ること」から適切な距離感を持って「見守ること」に変化しているといえます。それと同時に、子どもも「親を頼る立場」から「自分の人生に責任を持つ立場」へ役割を変えていきます。親子の関係は、子どもの成長と共に変化していくのです。

とはいえ、今回のケースは親だけが悪いとも言い切れません。子ども側が連絡を無視し続けると、親の不安はさらに大きくなってしまうでしょう。

もし毎日の連絡が重荷なのであれば、「急用でない場合は連絡は週末だけ」「生存確認はスタンプで済ませる」など、互いが心地よい距離感を保てるルールづくりが必要です。