子どもはいくつになっても、親からみれば関係性は「子ども」のままです。しかし、年齢が上がるにつれ、親子の適切な距離感は変わってきます。ある日、手取り26万円で一人暮らしをする25歳息子のLINE未読無視を心配し、55歳の母親がとった“ある行動”が親子関係に亀裂を生むことに……。CFPの山﨑裕佳子氏が事例を通して、子が独立したあとの親子の適切な距離感と、ミドルシニア世代のライフプランを立て直す重要性について解説します。
「心配で、心配で…」第一便の飛行機で〈手取り26万円〉25歳息子のアパートに駆けつけた55歳母。待ち受けていた“悲しい結末”【CFPの助言】
「おはよう」「仕事どう?」手取り26万円・25歳息子を悩ませる“過干渉の母”
大学を卒業後、都内の中堅の住宅メーカーに就職したユウキさん(仮名・25歳)。現在、奨学金の返済を抱えながら都内で一人暮らしをしています。
ユウキさんは高校まで地元の秋田県で過ごし、大学進学を機に上京しました。入学金と1年目の学費は親が出してくれましたが、それ以上は出せないと言われていたため、2年目以降の学費と生活費はアルバイト代と月10万円の奨学金で賄いました。
大学卒業時、奨学金の借入額は360万円になっていました。就職した半年後から返済が始まり、返済額は月1.9万円×20年で完済する計画です※。
※ 貸与利率2.243%・保証料総額約19.7万円で計算。
ユウキさんの現在の手取り額は月額26万円ほど。支出は下記のとおりです。
・奨学金:2万円
・家賃:10万円
・食費:5万円
・水道光熱費:1万円
・通信費0.7万円
・NISA:2万円積立
合計……20万7,000円
自由に使えるお金は約5万円で、大きな買い物や旅行は年2回のボーナスから賄っており、特に生活に不自由はありません。
こうして、忙しいながらも充実した日々を送っているユウキさんでしたが、ただひとつだけ小さな悩みがあります。それは、心配性で子離れできない母親、ナオミさん(仮名・55歳)のことです。
上京して一人暮らしを始めた当初から、ほぼ毎日LINEが送られてくるのです。就職してからも変わらず届き、むしろ大学時代よりも連絡の頻度が多くなっています。
「おはよう! 起きた? ちゃんと朝ご飯たべなさいよ」「今日は仕事どうだった?」「そろそろ家についたころかな? 仕事、お疲れ様」
なにか特別な用事があるわけでもなく、他愛もない内容です。最初は「心配しているのだろう」と律儀に返信していたのですが、徐々に面倒くさくなり、いまでは適当なスタンプが返信代わりに。正直、そのスタンプを押すのも面倒なのですが、放置していると今度は電話がかかってくるのです。
正直、ユウキさんはそんな母の過干渉にうんざりしていました。
「まあ、いいか」多忙を理由に、母からのLINEを2日間“未読無視”
ある日、朝から忙しく母からのLINEに返信できない日がありました。「あとでいいや」とそのまま飲みに行き、帰宅したのは深夜。酔いと疲れがあったユウキさんは、スマートフォンを放置したまますぐに寝てしまいました。
翌朝起きて通知画面を見ると、母からの何通ものLINEが入っています。「あ~、昨日返信するの忘れたわ……」と思いながらも「まあ、いいか」と未読無視。
すると仕事を終えた帰り道、着信を知らせるスマートフォンがポケットのなかで振動しました。「あーきっと母親だな」と察したユウキさんでしたが、電話に出れば小言を言われるのが目に見えています。
結局、その日も母親への連絡をしないまま寝床につきました。
