厚生労働省『2024年 国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の約半数は公的年金・恩給が総所得の8割以上を占めています。年金への依存度が高いなかでも、子や孫への援助を続ける高齢者は少なくありません。しかし、その善意が家族関係をゆがめることもあります。ある女性の事例から、その実態をみていきます。
「お小遣いあげるの、やめてみたんです」年金月14万円・72歳女性。孫への金銭援助を断った途端にパタリと途絶えた「長女夫婦からのLINE」 ※写真はイメージです/PIXTA

話題の多くが「お金」にまつわるものだった

長い間渡していた月2万円の孫へのお小遣い。ただ、それからすぐに変化がありました。以前は月に何度も届いていたLINEが、少しずつ減っていったのです。

 

孫の学校の話、休日に出かけた話、何気ない近況報告――そうしたやり取りがなくなりました。もちろん、長女夫婦にも生活があります。仕事や子育てで忙しい時期です。お金の援助だけが親子のつながりだった、と単純に言い切ることはできません。

 

しかし和子さんは、あることに気づきました。これまで届いていたLINEの多くは、「お金にまつわる話題」から始まっていたということです。

 

「今月も苦しいわ」

「XX(小学4年生の孫の名前)の習い事、高すぎる!」

 

そうした連絡がなくなると、自然と会話のきっかけも減っていました。

 

「毎月のお小遣いでコミュニケーションが生まれていたんですね……」

「私も『頼られている』と思って安心していた部分はあったのかもしれません」

 

援助をやめたことで、お金をきっかけに続いていたコミュニケーションが、思っていた以上に多かったことを知ったのです。

 

その後、和子さんは「お金に頼らない関わり方」を自ら模索し始めました。孫の誕生日には手書きの手紙を贈り、長女の忙しい時期には手作りの惣菜を届けるなど、無理のない範囲で愛情を注ぐ形に変えたのです。

 

最初は減ってしまったLINEに寂しさもありましたが、今では「体調はどう?」とお互いを純粋に気遣う、等身大のやり取りが戻ってきたといいます。