NISAの流行や物価高を背景に、「投資を始めたい」と考える人は多いでしょう。しかし、投資に取り組むうえでは、まず自分の「目的」を明確にすることが欠かせません。『借金1000万円から億り人 じゃない方芸人の大逆転投資術』(KADOKAWA)の著者で、「山下本気うどん」プロデューサーのオモロー山下氏は、自身の過酷な下積み時代の経験から行き着いた“ある切実な目的”のために投資を続けているといいます。本人の実体験を通して、投資が人生にもたらす本当のメリットについてみていきましょう。
「誰も聞いていない漫才の営業も…」“じゃない方”芸人が経験した絶望の底。〈億り人〉になった今…どうしても伝えたい、投資をする「お金以外の理由」 写真/水上俊介

投資を始める前は「やりたくない仕事」もやるしかなかった

コンビ時代、僕はずっと「仕事を選べない側」の人間でした。本当はやりたくない仕事。例えば、ビュッフェ形式で食事をしているお客さんの前での誰も聞いていない漫才の営業。でも生活のためには、引き受けないと、しょうがなかったんです。

 

うどん屋を始めたのも、突き詰めれば自分の食い扶持を稼ぐためでした。1998年にマネージャーから突然「来週、1週間休みです」と告げられたときも、それでは生活ができないという強烈な恐怖と不安があったから、吉本の社員になろうと必死にすがりつきました。またナインティナイン・矢部さんのお兄さんの会社でマネージャーとして働きながら、こっそりルミネの舞台に立たせてもらう二重生活を送ったりもしました。

 

これらはすべて、生きるため。お金がないゆえに「追い込まれて選ばされた道」だったんです。あの絶望の底にいた頃、もし僕に資産があったら。もっと心に余裕を持って、自由に自分のやりたいことを選べたかもしれません。

 

焦ってコンビを解散することもなかったかもしれないし、「1週間休みです」と言われても「じゃあ、その間に新しいネタを考えよう」と笑って前を向けたかもしれない。

才能ある後輩も、お金が理由で夢を諦めていった

僕だけではありません。お笑いの世界で、お金が理由で夢を諦めていった才能ある後輩たちをたくさん見てきました。

 

金銭的にギリギリの生活の中で、2人目の子供が生まれ「これ以上は家族を養えない」と泣く泣く芸人を辞めていった仲間もいます。それを見るたびに、僕は胸が締め付けられる思いでした。

 

「他にやりたいことが見つかったから辞める」という前向きな理由ならいいんです。でも、「才能も情熱もあるのに、お金がないから辞める」というのは、あまりにも悲しすぎる。