写真/水上俊介
「病気になったら終わり」…労働収入の限界と、舞い込んだ“転機”
借金を完済し、店も軌道に乗った。普通なら、ここで満足するところでしょう。でも僕は、ある不安を感じていました。
毎日店に立ってうどんを作ることで利益を得ていましたが、これは「労働収入」です。僕が働かなければ収入はゼロ。病気になったら終わり。年を取って体力がなくなったら続けられません。
僕は後に投資の世界で「労働収入」と「資産収入」の違いを学ぶのですが、当時の僕は資産収入がゼロで、ほぼ100%が労働収入という状況でした。でも、うどん屋を「労働」から「資産」に変えれば、僕が働かなくても収入が入ってくる仕組みを作ることができます。
「そんなうまい話があるのか?」というと、実はあったんです。
「現場主義」に反する…最初は後ろ向きだった
2017年頃、株式会社ガーデンという外食企業から「『山下本気うどん』をフランチャイズ展開しませんか?」というお話をいただきました。
とてもありがたい話でしたが、最初はあまり乗り気ではありませんでした。フランチャイズにすると、僕がいない店舗が全国に増えていく。あれだけこだわった「現場主義」に反するんじゃないか。僕がいない店で、ちゃんと味を守れるのか。そんな迷いがあったんです。
確かに僕がお店に立っていれば、味をしっかり守れます。でも、やっぱり1人でできることには限界があります。僕はうどんの味に自信があったし、たくさんの人たちに食べてもらいたいと思っていましたが、直営でやれるのは1、2店舗がせいぜい。
ガーデンさんはラーメンなど多種多様な飲食店を多店舗展開している企業です。ガーデンさんなら、僕がこだわったうどんの味を、もっと多くの人たちに広げてくださる。いつか僕が年を取って現場に立てなくなっても、あの味を多くのみなさんに楽しんでもらえると思ったんです。そう考えると、急にフランチャイズに前向きになってきました。
2017年6月、僕はガーデンさんとライセンス契約を締結しました。「山下本気うどん」のブランドとレシピをライセンス提供し、うどん1杯ごとにロイヤリティを受け取る形です。お店はすぐに3店舗に広がりました。
