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手取り15万円でも十分だったのに…繰り下げを選んだのは正解だったのか
繰り下げによって税金と保険料の負担が重くなってしまったことを知った浩三さんは、「5年間あんなに必死に働いて受給額を増やそうとしたことはムダだったのだろうか。これなら65歳から普通に月17万円(手取りで約15万円)をもらって暮らしていたほうがよかったのではないか」と落胆します。
日本年金機構の「年金の繰り下げ受給」によると、年金の受給を遅らせた場合、1か月ごとに「0.7%」が一生涯増額される仕組みになっています。浩三さんのように70歳(60か月)まで受給を遅らせた場合の増額率は、国が定めたとおり「42%」です。
「受給を1か月遅らせるごとに0.7%が増額」のルールから逆算して累積受給額をシミュレーションすると、何歳まで受給を遅らせた場合であっても、受給を開始した時点から「11年11か月(約12年)」生きることで、65歳から年金をもらい始めた場合の増額を追い抜く計算になります。
しかし、これもあくまで「額面」の話。税金や保険料が高くなった浩三さんの「手取りベース」での損益分岐点は、さらに後ろへズレ込むことになります。
はじめは手取り額の少なさに落ち込んでいた浩三さんでしたが、「こうなったら、元を取るまでは病気になるわけにはいかない」と気持ちを切り替えました。今では82歳以上長生きすることを目標に、毎朝のウォーキングに励んでいます。最近は同年代のウォーキング仲間もできて、生活にもハリが出たようです。
「最近、アボカドを食べるようにしたらなんとなく体調が良くなりましてね」
「アボカドなんて、浩三さんセレブじゃないですか(笑)。ボクは毎朝納豆キムチを食べるようにしてますよ」
健康に関する情報交換をしながらウォーキングに励む毎日が、浩三さんの新たな心の支えとなっています。
年金の繰り下げ受給をすべきかどうかは、一人ひとりの健康状態や家族構成、そして「天引き後の手取り」の考え方によって大きく異なります。「繰り下げたほうが額面が増える」という表面的なメリットだけでなく、どのようなデメリットがあるのかもリアルに調べたうえで、慎重に検討することが大切です。