相場の追い風に乗って資産を増やした小平さん(仮名)は勢い半分で早期退職・FIREを成し遂げました。ところが、辞表を出した日から、歯車は静かに狂い始めます。狭い部屋に夫婦二人、行き場のない一日。「広い家に移ろう」と臨んだ住宅ローン申請でしたが、まさかの“否決”。「資産は1億2,000万円ある。それでも7,500万円が借りられない」……。ファイナンシャル・プランナーの青山創星氏が、「お金」と「信用」の決定的な違いを解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
銀行員「申し訳ありませんが、ご融資はできかねます」…52歳元会社員、資産1.2億円超なのに住宅ローン審査で“まさかの門前払い”。狭い賃貸で妻と2人「地獄のFIRE生活」のワケ【FPの解説】
「もう会社には行かない」勢いの辞表…夫婦で始めた「FIRE生活」
小平宗助さん(52歳、元会社員)は、外資系IT企業で長く勤めてきたエンジニアでした。ここ数年の米国株などの相場高騰の追い風に乗って積み上げた運用資産は、1億2,000万円を突破。純金融資産1億円以上で「富裕層」に分類される、いわゆる「億り人」の一人です(注1)。
そんな小平さんが会社を辞めたのは、自分より一回り以上若い上司が着任したことがきっかけでした。これまでの仕事のやり方を直すよう言われた上、評価まで下げられたのです。長く支えてきた会社の扱いに我慢できなくなった小平さんは、叩きつけるように辞表を提出しました。
「これだけ資産があるんだ。我慢する必要なんてないからな」
せいせいした気分でした。勢いのままに、妻の恭子さん(仮名/50歳)にも退職を勧め、夫婦そろってFIRE生活に入ります。周囲が働く中、悠々自適な生活を手に入れた二人。しかし、その解放感は最初のうちだけでした。
約45平米、都内の狭い賃貸マンション。働いていた頃は寝に帰るだけの場所が、退職後は一日中、夫婦二人で顔を突き合わせる空間になります。距離が近すぎるあまり、ちょっとしたことで言い合いが増え、夫婦仲はみるみる悪化していきました。
「快適なFIRE生活をするには、広い家が必要だ。思い切ってマンションを買おう」
家庭崩壊の危機を感じた小平さんは、家を探し始めました。しかし、待ち受けていたのは、非情な現実でした。
