(※写真はイメージです/PIXTA)
義母の訪問が平日週5回に
「また来るのか……」
そう思う自分に嫌気が差していました。神奈川県内で暮らす会社員の佐藤健太さん(35歳・仮名)はそう振り返ります。妻の美咲さん(34歳・仮名)と、小学1年生の長男との3人暮らしです。世帯年収は約680万円。特別裕福ではありませんが、住宅ローンを払いながら堅実に生活していました。
問題が起き始めたのは、長男が保育園に通っていたころでした。妻の母である和子さん(65歳・仮名)が、頻繁に自宅を訪れるようになったのです。
きっかけは善意。美咲さんが仕事に本格復帰し、ドタバタとした毎日を過ごすなか、「忙しい娘夫婦を助けたい」、そんな親心により、夕食のおかずを持参したり、洗濯物を取り込んだりするようになりました。
佐藤さん夫婦の家と、義実家は電車で3駅、ドア・トゥ・ドアで40分ほどの距離にあります。最初のうち、佐藤さんは感謝していました。
「助かります」
そう伝えていたといいます。ところが訪問回数は徐々に増えていきました。週1回だったものが週2回になり、気づけば平日週5回になっていました。
ある日のことです。平日の午後7時過ぎ、自宅のインターホンが鳴りました。
「おでん、作りすぎちゃって」
玄関先には義母が立っていました。佐藤さんは心の中でため息をつきました。その日は仕事で大きなトラブルがあり、ようやく帰宅したばかりでした。家族3人で夕食を食べて、早めに休みたいと思っていました。しかし義母はそのままリビングへ入り、孫と話し始めます。気づけば1時間以上が経過していました。
「もちろん悪い人ではないんです」
佐藤さんはそう前置きします。
「むしろ親切です。ただ、自分の家なのに落ち着けなくなっていました」
特に負担だったのは予定が読めないことでした。事前連絡がない日も少なくありません。冷蔵庫の中身を見ながら、「今日はこうしたほうがいいんじゃない?」と献立について意見を言われることもありました。
休日の昼間に突然訪れることもありました。「今日は家族だけで過ごしたい」と思っても口には出せませんでした。妻は母の行動を好意として受け取っていたからです。
「お母さんは私たちのためにやってくれているんだから」
共働きとはいえ、家事負担は妻のほうが圧倒的に重い。家事が下手な佐藤さんは、正直、妻にとってもお荷物でした。そのようななか、「お母さんが来てくれて助かる」と言っている妻に、何も言えなくなりました。
国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、妻が正規雇用の世帯であっても、平日の平均家事時間は妻が186分であるのに対し、夫は65分にとどまります。また、同世帯の約半数において妻が家事全体の8割以上を負担しているのが実態です。共働きでも家事負担が妻に重くのしかかる現状があり、佐藤さんのように、家事支援をしてくれる義母を頼る妻へ強く意見できない夫の心理も仕方がないといえるでしょう。