(※写真はイメージです/PIXTA)

墓じまいは法律上、墓地使用者(名義人・祭祀継承者)の権限のみで行うことができる行為です。しかし、親族へ事前相談をせずに墓じまいをしたことで関係がこじれたり、費用面でトラブルに発展したりといったケースが少なくありません。そこで本記事では、墓じまいでよくある「親族間トラブル」と回避するためのポイントについて、株式会社WataSelica代表取締役・赤羽真聡氏が解説します。

墓じまいで起こりやすい「親族間のトラブル」

墓じまいでは、失敗を防ぎ費用をできるだけ抑えるために、信頼できる業者を選び、相見積もりを取り、補助金の活用を検討するなど、入念に準備を進める方が多いでしょう。しかし、こうした準備をしていても、思わぬトラブルが発生してしまうケースは少なくありません。

 

なかでも注意したいのが、親族間の意見の食い違いです。ひとたび意見が対立すると、その場だけでなく今後の関係性にも影響をおよぼすことがあるため、慎重な対応が求められます。特に墓じまいでは、「費用分担」をめぐって揉めるケースが多くみられます。

 

■費用分担で揉めやすい典型的なケース

・祭祀継承者が自己判断で墓じまいを進め、親族との関係がこじれる

・事前に相談したうえで費用を請求したところ、親族に負担を拒否される

・「費用は跡取りが払うべき」などと費用分担を断られる

・「兄妹は嫁ぎ先のお墓があるから」と負担を拒否される

・そもそも、どこまで相談すべきか判断がつかない

※ 祭祀承継者(さいしけいしょうしゃ)……お墓や仏壇、位牌などの祭祀財産を引き継ぐ人のこと。なお、長男だけとは限らない。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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1.祭祀継承者が自己判断で墓じまいを進め、親族との関係がこじれる

墓じまいは法律上、墓地使用者(名義人・祭祀継承者)の権限のみで行うことができる行為です。一般的には、祭祀継承者となる長男がお墓を引き継ぎ、管理や法事を取り仕切るケースが多いでしょう。

 

しかし実際には、親族への相談や理解を得ないまま進めてしまったことで、あとになって「なぜ相談してくれなかったのか」「勝手に決められた」と不満をぶつけられてしまうことが多々あります。

 

2.費用を請求したところ、親族に負担を拒否される

墓じまいは、祭祀継承者が費用を全額負担するケースが多いものの、親族で協力して費用を分担したいと考えることは間違いではありません。

 

しかし実際には、事前に相談して同意を得ていたにもかかわらず、費用面で意見が対立し、トラブルに発展することもあります。

墓じまいにおける親族間トラブルを避けるポイント、2つ

1.「事後報告」は避ける

先祖代々のお墓には、家族それぞれの思い入れや供養に対する考え方があります。そのため、墓じまいを事後報告で済ませることは避けたほうがよいでしょう。事後報告が原因で、費用分担についても納得が得られず、トラブルに発展することがあります。

 

特に、親族で協力して費用を分担したいと考えている場合は、相手への配慮を忘れず、慎重に進めることが大切です。事前に移転先の情報や墓じまい費用のおおよその目安を共有しておくことで、不要な誤解や対立を防ぐことができるでしょう。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

2.「相続分が多い人が多めに負担」が一般的

祖父母や両親が亡くなった際に財産を相続している場合、相続分が多い方が祭祀に関する費用を多く負担することが一般的です。しかし、必ずしもそのとおりにしなければならないわけではありません。

 

親族それぞれの生活状況や、これまでの負担の割合などを踏まえて話し合うことで、無理のない分担方法がみえてくるでしょう。

 

祭祀継承者が全額を負担するケース、兄弟姉妹で費用を分担するケース、親族全体で協力するケースなど、費用分担の方法にはいくつかのパターンがあります。それぞれの例とその背景は下記のとおりです。

 

出所:筆者作成
[図表]墓じまいの費用分担例 出所:筆者作成

 

長年にわたり親の介護を担ってきた兄弟姉妹がいる場合には、これまでの負担に配慮したり、定年退職している方がいる場合は収入が限られている状況を踏まえたり、状況に応じて費用分担を検討することが望ましいといえます。

 

あるいは、祭祀継承者がこれまでお墓の管理費用や法事の費用を負担してきたことを考慮し、墓じまいではほかの親族が少し多めに費用を負担するというパターンも考えられます。このように、互いに思いやりをもって調整することで、墓じまいが円滑に進みやすくなります。

 

また、費用分担を検討している場合はお墓の年間管理費や法要にかかる費用を事前に共有しておくと、親族の理解を得やすくなります。さらに、一人っ子の場合には、叔父や叔母などに援助を求めることも可能です。

 

いずれの場合も、公平な分担を実現するためには、事前の話し合いが欠かせません。

円滑な墓じまいのカギを握る「相談のタイミング」

費用分担をお願いする際には、先述した事後報告によるトラブルを避けるためにも、適切なタイミングと伝え方が重要です。

 

たとえば、親族が集まる法事などは話し合いのチャンスです。今後のお墓についての意向を共有し、親族の意見を聞きながら少しずつ準備を進めていきます。その際、自分の想いを丁寧に伝えて理解を得ておくことで、話し合いがよりスムーズに進みやすくなります。

 

■トラブルが起きない「理想の墓じまい」5ステップ

1.親族が集まる機会(法事・お盆・年末年始など)に墓じまいを検討していることを伝える

2.改葬先(ご先祖様の引っ越し先)の候補をあげて費用を算出し、寺院や石材店に墓じまいの相談をして見積もりをとる(必要に応じて相見積もりをとる)

3.費用を整理し書面にまとめて親族に共有し、合意形成を図る

4.取り決めた内容も書面化し、必ず保管する

5.墓じまい完了後、無事に終わったことを親族へ報告する

 

親族間の話し合いで決めた内容は、あいまいなままにしておくと、後々トラブルに発展することがあります。特に費用分担については、書面として残しておくと安心です。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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トラブルを減らす専門家のサポート

墓じまいは、価値観の違いなどから親族間で揉めることもあるデリケートな問題です。しかし、適切なタイミングで想いを伝え、必要な情報を共有しておくだけでも、トラブルの可能性を大きく減らすことができます。

 

株式会社WataSelicaでは、墓じまいをスムーズに進めるためのサポートも行っております。ご自身だけでの対応が難しい場合は、ぜひご相談ください。