(※写真はイメージです/PIXTA)
婿養子だった父の死後
地元の有力不動産会社の元社長である父親のマサミツさん(享年75)が、心不全で急死しました。長男のマサオミさん(51歳)は、突然の別れを悲しみつつも、残された母親のリンさん(73歳)の今後の生活について、事務的な手続きを進めていました。
マサミツさんが遺した財産は、自社株や不動産、現預金を合わせて約2億円。さらに受給していた年金も月額20万円あり、高齢の夫婦が暮らすには十分すぎるほどの豊かな経済基盤がありました。
亡くなったマサミツさんは「婿養子」でした。母のリンさんは地元の広大な土地を所有する資産家の令嬢であり、マサミツさんはその実家の看板と、先代が興した会社を引き継いだ立場だったのです。リンさんは表向きには「夫を立てる完璧な社長夫人」として振る舞っていました。マサミツさんもまた、リンさんの実家への敬意を片時も忘れず、妻の意見を丁寧に聞き入れる従順な夫でした。マサオミさんの目にも、両親は互いの立場を理解し合う、理想的な夫婦として映っていたのです。
リンさん自身、実親から相続した固有の土地や自社株式を保有しています。「夫名義の財産がどう分配されようが、自分の地位は揺るがない」と、これからの人生を計算していたのです。
しかし、四十九日を終えたあとに開示された一通の書類によって、マサオミさんは畏怖の念とともに、我が家の恐ろしい裏の顔を知ることになります。
「公正証書遺言」の中身
実家の金庫から見つかったのは、マサミツさんが生前に公証役場で作成していた「公正証書遺言」の控えでした。マサオミさんとリンさんは、遺言執行者である弁護士のオフィスで内容を確認することに。
弁護士が書類を開き、その内容を読み上げたとき、マサオミさんは腰を抜かさずにはいられませんでした。遺言書の内容は以下のようなものだったからです。
それまで冷静だったリンさんの眉が跳ね上がりました。マサオミさんも呆気にとられてしまいます。
「先生、なぜですか!?」
弁護士は続けます。「こちらの付言事項も読み上げさせてください」。