加速度的に溶ける資産…退職から3年後の「哀しい現実」

最初の数ヵ月は相場の地合いも良く、コンスタントに利益が出ました。当初は毎月15万円程度の投資の利益で十分満足でした。

しかし、土地を売った翌年は所得税や住民税、国民健康保険料などで500万円近い支払いが必要です。そこは承知していた卓也さんですが、大金を手にした気の緩みから、月々の生活費はむしろ上がっています。 

「月15万じゃ生活費が足りない。でも、元本を切り崩すのは嫌だ。もっと効率よく、月50万、100万と稼げる方法にシフトしないと」

利益が出たことで、自信は大きくなるばかりでした。

「俺は投資の才能があるんだから、専業投資家になってもっと本格的に取り組もう」

卓也さんはそう考え、FXや信用取引など、よりハイリスクな投資に手を出すようになりました。しかし、才能などあるはずもなく、運任せのトレードを続け、やがて1日で100万円を超える損失を出す日が続きます。損を取り戻そうと、さらに大きなポジションを取る――その繰り返しが、資産を加速度的に溶かしていきました。

そして、退職から3年。卓也さんの手元に残ったのは、300万円を切る現金だけです。

52歳になった今、独身、直近の職歴は「投資家」。正社員への再就職を目指して応募を続けていますが、書類すら通らない日が続いています。

「投資家なんか目指すんじゃなかった。あのとき会社を辞めなければ。いい気になって、なんてバカなことをしたんだろう」

後悔しても、失った大金はもう戻ってきません。

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