金融庁の統計によると、2025年12月末時点でNISAの口座数は約2,800万口以上に上っています。しかしその一方で、開設後に取り引きされていない口座がそのうちの約3割もあると言われます。NISAは魅力的な税制優遇制度ですが、誰しもが得をする万能な制度ではありません。本記事では、生方 正氏の著書『副業禁止の会社員、公務員でもできるFIRE入門 節約、ポイ活からでも資産1億円を築く方法』(WAVE出版)より一部を抜粋・再編集し、NISAのメリットと4つの注意点を解説します。
「必ず儲かる」「枠を埋めないと損」という思い込み…〈NISA万能論〉の限界と4つの注意点【40代でFIREした元公務員が解説】

「必ず儲かる」は大きな間違い…NISAに潜む〈4つの落とし穴〉

NISAには、大きなメリットもありますが、その一方で注意が必要なことも、4点あります。

 

①金融機関により、取り扱う投資信託の種類や手数料に大きな差がある

同じ投資商品を保有する際、わざわざ高い手数料を支払う必要はありません。種類、条件、手数料を比較して、できるだけ低コストで運用できる金融機関を選ぶのが賢い選択です。

 

②NISAは「必ず儲かる制度」ではない

あくまで国が用意した税制優遇の仕組みの1つにすぎません。そもそも、積み立てた投資商品自体値上がりしなければ、制度の恩恵を受けることはできません。

 

③為替変動により運用成果が左右される

円建てでS&P500を購入した場合、円高が進むと、円ベースの利益が減少、マイナスになる可能性もあります。逆に円安が進むと、リターンが増え、利益が膨らむことになります。

 

④非課税の裏に潜む相続税

NISAは高齢になっても積立を継続できる制度であるため、生涯にわたり非課税となるメリットが受けられる一方、名義人が死亡した場合は相続の対象となり、各種控除額を超えた部分に相続税が課されることになります。名義人のご家族は、契約状況をあらかじめ把握しておき、備えておくことが重要です。

 

口座の約3割が「未稼働」の現実…NISAは“万能”な制度ではない

老後資金に必要な金額は人それぞれ異なります。年齢や健康状態、家族構成、保有資産、退職までの期間など、前提条件が違えば、取るべきリスクや適切な投資割合が変わるのは当然のことです。

 

そのため、何より自分の将来をしっかり見据え、計画的に資金を積み立てることが大切です。「□□さんが毎月◯万円積み立てているから」といった声に影響されて、身の丈に合わない投資をする必要はありません。

 

金融庁が公表している統計(速報値)によると、2025年12月末時点で、NISAの口座数は約2800万口以上、となっています。その一方で、開設したものの取り引きされていない口座が、そのうち約3割ある、と言われます。

 

NISAは魅力的な税制優遇制度ですが、万能な制度ではありません。大切なのは「制度に乗ること」ではなく、「自分に合った使い方を理解すること」です。制度のメリットと限界を正しく理解して、人生設計に上手に活用していきたいものです。

 

結論

◆制度は万能ではない。自分に合った使い方が重要。

◆非課税の裏に、相続時のリスクあり。

◆年齢と目的を軸に、自分らしい資産活用の道を拓く。

 

 

生方 正

サービス創新研究所研究員/個人投資家