「金の保有」が資産を守るための防衛策となるワケ
金、ゴールドの現物を持つ目的は、利益を狙うことではありません。それは増やすための投資ではなく、失わないための防衛の投資です。私はこの考えに基き、資産の一部を金の現物として保有してきました。
私が初めて金を購入したのは2008年。当時の価格は、1グラム2,400円台と、今から見れば、信じられないほど安い水準でした。しかし、購入の理由は値上がりを期待した投資判断ではありません。目的はただ1つ。「何が起きても、すべてを失わない状態を作る」ことでした。
このとき私は、毎月積み立てる純金積立ではなく、まとまった量の延べ板を購入しました。ここには2つの理由があります。まず、「運用目的でなく保険として、手元に置きたかった」からです。そしてもう1つは、「手数料を抑える」ためです。
積立型の商品は購入には便利ですが、長期で見るとコストが積み上がります。資産防衛が目的であるなら、最初から現物を持つ方が合理的です。保険は、必要になってから加入するものではありません。必要になる前に、防衛のために加入しておくものです。
私の金の現物購入も、自分の資産にほんの小さな保険をかけたにすぎません。スイスのプライベートバンカーの間では、「資産の10%を金で保有する」考えが一般的と言われています。
その理由は極めてシンプルです。株式は、市場参加者の評価と企業活動という「期待」に依存します。不動産は、法制度・税制・人口動態といった社会構造に縛られます。預金は、国家と通貨制度への信用が前提です。つまり、どの資産も何らかの制度や信用の上に成り立っているのです。