世界的なインフレや地政学リスクなど、予測困難な事態が続く現代。「これまで頑張って築いた資産をどう守るか」は、現役世代にとって切実な課題です。著者は、未来の予期せぬ危機によって自分の人生を破壊させない防衛策として、「金(ゴールド)」で保有することを推奨しています。本記事では、生方 正氏の著書『副業禁止の会社員、公務員でもできるFIRE入門 節約、ポイ活からでも資産1億円を築く方法』(WAVE出版)より一部を抜粋・再編集し、「金の現物保有」の真価について解説します。
信用や制度に依存しない〈金の真価〉…「金(ゴールド)」は“増やす投資”ではないと語るワケ【40代でFIREした元公務員が解説】

「金の保有」が資産を守るための防衛策となるワケ

金、ゴールドの現物を持つ目的は、利益を狙うことではありません。それは増やすための投資ではなく、失わないための防衛の投資です。私はこの考えに基き、資産の一部を金の現物として保有してきました。

 

私が初めて金を購入したのは2008年。当時の価格は、1グラム2,400円台と、今から見れば、信じられないほど安い水準でした。しかし、購入の理由は値上がりを期待した投資判断ではありません。目的はただ1つ。「何が起きても、すべてを失わない状態を作る」ことでした。

 

このとき私は、毎月積み立てる純金積立ではなく、まとまった量の延べ板を購入しました。ここには2つの理由があります。まず、「運用目的でなく保険として、手元に置きたかった」からです。そしてもう1つは、「手数料を抑える」ためです。

 

積立型の商品は購入には便利ですが、長期で見るとコストが積み上がります。資産防衛が目的であるなら、最初から現物を持つ方が合理的です。保険は、必要になってから加入するものではありません。必要になる前に、防衛のために加入しておくものです。

 

私の金の現物購入も、自分の資産にほんの小さな保険をかけたにすぎません。スイスのプライベートバンカーの間では、「資産の10%を金で保有する」考えが一般的と言われています。

 

その理由は極めてシンプルです。株式は、市場参加者の評価と企業活動という「期待」に依存します。不動産は、法制度・税制・人口動態といった社会構造に縛られます。預金は、国家と通貨制度への信用が前提です。つまり、どの資産も何らかの制度や信用の上に成り立っているのです。