「親と同居する未婚の大人」がいま、将来に向けたリスクを抱えています。内閣府の調査によると、未婚者の孤独感は有配偶者の約3倍に上り、さらに「家族との死別」が孤独を深める最大の要因とされています。埼玉県に住むタカシさん(仮名・46歳)も、優しすぎる母親の手厚い世話のもと、実家という“ぬるま湯”に浸かり続けてきました。しかしある日、〈同僚のひと言〉をキッカケに恐怖を覚え、46歳にして初めての実家脱出を決意します。
「母さんが心配。でも…」〈年金月6万円〉74歳母を実家に残し、46歳独身男性が“初めての一人暮らし”を決断したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

「母がいないと生きていけない」46歳独身男が気づいた実家という“ぬるま湯”

「親不孝だとはわかっています。でも、居心地のいい実家にこれ以上浸かっていたら、一人では何もできないまま年老いていく。その恐怖に気づいたんです」

 

埼玉県で一人暮らしを始めたばかりのタカシさん(仮名・46歳)。今年の春、母親・フミコさん(仮名・74歳)を実家に残し、生まれて初めて一人暮らしをスタートさせました。

 

大学生のころに自営業だった父親を亡くして以来、月6万円の国民年金で暮らすフミコさんを、自身の月収(手取り約35万円)で支えてきたタカシさん。

 

同級生たちが次々と独立していくなか、「自分が大黒柱にならなければ」「残された母が一人で暮らすのは心配だから」と、実家にとどまり続けていました。

 

フミコさんは、いわゆる「毒親」とは対極にいる、愛情深くて穏やかな人でした。

 

「帰宅すれば温かい夕食とお風呂が用意され、掃除やアイロンがけまで、身の回りのことはすべて母が完璧にこなしてくれました」

 

夫を亡くした寂しさを埋めるように世話を焼くフミコさんの存在は、タカシさんにとってあまりに居心地がよく、自立のタイミングを完全に見失わせていたのです。

 

「母が心配というのはただの言い訳で、本当は家事の一切を任せきりにし、実家から出るのが怖かっただけなんです」

 

タカシさんが実家を出る決意をしたのは、親を看取ったばかりの同僚の言葉がキッカケでした。