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娘婿の父母への対抗心が招く、資産寿命の危機
過酷な現実ですが、データもそれを物語っています。厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の平均所得額は314.8万円。全世帯平均の536.0万円を大きく下回っています。多くの高齢者が、限られた原資で生活をやりくりしているのが実態です。
さらに、高齢期の生活を脅かすのが医療や介護費用の増大です。厚生労働省『医療費の動向(令和6年度)』などによると、生涯医療費は約2,700万円(男性約2,580万円、女性約2,820万円)。65歳以降の医療費は男性約1,450万円、女性約1,703万円と多くを占めます。高齢者ほど医療費負担が大きいことは明らかです。そのようななか、もう一人の祖父への対抗心から財布の紐を緩めることは、自らの資産寿命を縮める要因になりかねないでしょう。
それでも、傷つけられたプライドを抑えきれなかった木村さんは、まさかの行動に出ます。
「次の正月に孫がやってきたとき、私はお年玉に身の丈に合わない3万円を包んで渡してしまいました。『小学校1年生に3万円なんて、非常識だ!』と妻からは猛反対されました。しかし、あちらのお父さんに負けたくない一心でした」
大金を手にした孫は歓声を上げ、その時ばかりは木村さんを持ち上げました。しかし、一度上げた基準を下げることは容易ではありません。それ以降も孫の金銭的要求はエスカレートし、木村さんの家計は急速に圧迫されていきました。
子ども世代が親の財布事情を誤解していることや、親世代自身の「負けたくない」という見栄が重なると、老後のお金はあっという間に減っていってしまいます。娘婿の父母や周りの家と張り合っても、良いことはひとつもありません。自分たちのこれからの生活を守るためには、「うちはうち、よそはよそ」と割り切って、出せる金額の限界をしっかりと家族に伝える優しさと勇気が必要なのかもしれません。