高齢期における「他家との経済的格差への対抗心」や「孫への過剰な支出」は、老後の生活に大きな影響を与えることも。今回は、孫に好かれたい一心の男性のケースを通し、老後の家計管理のあり方をみていきます。
「こっちのおじいちゃんは、本当にケチだなぁ」孫の一言に唖然…〈年金月18万円〉〈退職金2,000万円〉祖父、娘婿の父への対抗心が招いた「まさかの行動」 ※写真はイメージです/PIXTA

堅実なはずだった老後…孫の「まさかの一言」で崩れた平穏

「まさか、小学1年生の孫の口から、あんな言葉が飛び出すとは思ってもみませんでした。あの瞬間の屈辱は、今でも忘れることができません」

 

地方都市のメーカーで働き、数年前に定年退職を迎えた木村和彦さん(72歳・仮名)は、当時の出来事を振り返ります。

 

木村さんの退職金は約2,000万円で、現在の公的年金は月額約18万円。夫婦合わせると30万円近くになります。生活に困窮しているわけではありませんが、将来の医療や介護リスクを考えると、資産の取り崩しは最小限に抑えたいというのが本音でした。そのため、日頃から出費を削り、孫の翔太君(7歳・仮名)へのお小遣いやお年玉も、世間相場に合わせた3,000円に留めていました。

 

しかし、この堅実な姿勢が、思わぬ確執を生むことになります。事の発端は、長男の修一さん(39歳・仮名)一家が、妻である真由美さん(37歳・仮名)の実家と木村さんの家を続けて訪れた、あるお盆の時期でした。

 

新しいゲームソフトを欲しがる翔太くんに対し、木村さんが「お誕生日まで我慢しなさい」と諭したときのことです。翔太君は不満を隠そうともせず、このように言いました。

 

「やっぱり、こっちのおじいちゃんはケチだなぁ。お母さんのほうのおじいちゃんは、好きなものを買いなさいって1万円はくれるのに」

 

その言葉に、木村さんは言葉を失いました。真由美さんの実父であるもう一人の祖父は、地元の有力企業の元役員でした。年金額も資産も木村さんより潤沢で、孫に会うたびに高価な玩具や小遣いを与えていることは、かねてから聞いていました。

 

同席していた義理の娘・真由美さんは「ちょっと、翔太、そんなこと言わないの」と注意はしたものの、その表情には、自身の経済的優位性を誇るかのような雰囲気が漂っていたと、木村さんは言います。

 

「あちらのお父さんと比較され、孫の中で自分の序列が下がっていくように感じました。息子夫婦からも経済力のない親と見下されている気がして、猛烈な悔しさがこみ上げてきたのです」

 

孫をめぐる「もう一人のおじいちゃん/ばぁば」との経済的な格差や、負けたくないという対抗心。ないといえば誰もが嘘になるでしょう。特に男性の場合、「現役時代のプライド」や「孫に嫌われたくない、一番に慕われたい」という気持ちがどうしても働いてしまいます。その結果、自分の首を絞めると分かっていても、つい無理をしてお金を使ってしまうケースが少なくないのです。