長年、家庭のことは妻に任せ切りにしてきた男性が定年を迎え、会社を辞めた際に、避けて通れないのが「家庭内での居場所の再構築」という問題。定年を機に立場が逆転したある夫婦の事例を通じ、新たな生きがいと夫婦円満に至るプロセスをみていきます。
「ただ、ダラダラ家にいるつもり?」55歳共働き妻がピシャリ。〈退職金3,600万円〉座っているだけだった60歳元エリート夫、定年翌朝から“家事フル稼働”で気づいた「意外な幸福」 (※写真はイメージです/PIXTA)

役割の逆転がもたらした、思わぬ副産物

定年翌朝からフル稼働し始めた博さんの生活。慣れない料理で失敗し、スーパーに急いで出来合いの惣菜で夕食を揃えたり、洗濯物を雨で濡らしてしまったりと失敗ばかりだったといいます。

 

しかし、1ヵ月もすると、家事がルーティンに定着。上手とはいえませんが、今では美智子さんの帰宅時間に合わせて夕食の準備を整え、掃除や洗濯もこなせるようになりました。

 

「定年前は家の中に会話はほとんどありませんでしたが、今は『今日のスーパーの特売』や『効率的な掃除の仕方』といった共通の話題があります。妻は私が作った料理を『美味しい』と褒めてくれる。こんなに嬉しいこととは思いませんでした」

 

美智子さんも、現在の状況を前向きにとらえてくれているようです。

 

「正直、まだまだという感じですが、想像した以上にやってくれるので驚いています。働きながら家事をすることが、どれほど大変か、少しはわかってくれたらと、軽い気持ちでお願いしたんですけど」

 

国立社会保障・人口問題研究所『第7回 全国家庭動向調査』によると、夫の家事時間が長い世帯ほど、妻の結婚継続意思が高いという傾向が示されています。

 

定年を機に「稼いでいれば家事はしなくてもいい」という意識を捨て、家庭内の役割を自ら引き受けることは、夫婦円満に過ごすための最良の選択肢といえます。