(※写真はイメージです/PIXTA)
高齢者の「孫疲れ」が加速する要因
ヒサコさんのような「孫への歓待」による疲弊には、現代特有の背景があります。
総務省「消費者物価指数」でも明らかなとおり、生鮮食品や光熱費の上昇は、収入が固定されている年金生活者にとって最も大きな打撃となります。2020年を100とした場合、2026年現在では大幅な上昇をみせています。「唐揚げ」に関わる品目の上昇率(2020年比推計)は以下のとおり。
鶏肉(もも肉)約125%:2kgの価格が以前より約1,000円以上アップ
食用油約160%:かつての「特売価格」は消滅し、1本の単価が倍近くに
ガス代・電気代約140%:大量の揚げ物を調理する熱源コストが増大
「昔と同じおもてなし」を続けることは、実質的な「生活水準の切り下げ」を意味します。
また、「孫に好かれたい」「子どもを助けたい」という心理が働くと、辞めどきがみつからなくなります。特に一人暮らしの高齢者にとって、孫は唯一の社会的な繋がりであることが多く、嫌われることへの恐怖から無理を重ねてしまう構造があります。
現役世代も物価高に苦しんでいるため、「実家での食事」を経済的な助け舟として利用してしまいがちです。しかし、親の年金額を正確に把握していないため、親が「身を削って揚げている」ことに気づけません。そして、親世代も「当然、子世代から金銭を受け取るわけにはいかない」という考えが根強い人も少なくありません。
ヒサコさんにとっての毎週末の孫たちへのおもてなしは、孫への愛情表現であると同時に、「役に立っている自分」を確認するための手段でもありました。しかし、月13万円の年金は、彼女自身が将来、介護や医療を必要としたときのための大切な原資です。
2キロの鶏肉を揚げる気力と体力が尽きる前に、メニューを「一緒に作るホットプレート料理」に変える、あるいは「材料は娘夫婦が持参する」といったルール作りが必要です。「頑張りすぎる祖母」を卒業することは、決して愛情が薄れたことではありません。持続可能な交流こそが、シニア世代に必要な線引きといえるでしょう。
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