(※写真はイメージです/PIXTA)
「実家って、こんなに居心地がいいんだ」
ナオコさんは昨年、学生時代のサークルの先輩だった夫(44歳)と結婚しました。お互い初婚で友人同士の集まりで約10年ぶりに再会。意気投合して3ヶ月で結婚に至りました。ナオコさん自身は「このまま独身で気ままに暮らしていくんだろうな」と思っていたのでまさに「青天の霹靂だった」と振り返ります。
今年のゴールデンウィークは夫婦で長野の義実家へ帰省しました。
義母は73歳。書道教室に通い、友人と食事を楽しむなど、穏やかなシニアライフを送っていました。年金は月15万円ほど。持ち家があり、亡くなった夫が残した約3,000万円の遺産もあるため、生活に困窮しているわけではありません。
「私は実家とあまり関係がよくなかったので、『こういう家庭ってあるんだな』って思いました。家にはお孫さんと撮った写真や夫が小さかった頃の写真が壁一面に貼ってあって。お義母さんも穏やかで、本当に居心地がよかったんです」
夫の弟(40歳)も県内に住んでおり、小学生の息子と妻がいます。義弟一家も頻繁に義実家へ来ている様子を見て、ナオコさんは「家族仲がいいんだな」と感じていたそうです。
有名店の羊羹と、少し早い母の日のプレゼント
帰省にあたり、ナオコさん夫婦は都内の有名店の羊羹を手土産に選びました。さらに、ナオコさんは「少し早いですが」と、母の日のプレゼントも用意していたといいます。
「義母は書道教室に行っているとのことだったので、なんとなく羊羹も好きなのかなと思い、季節限定の羊羹を手土産に帰省したんです。プレゼントだって大したものじゃないんです。本当にちょっとしたプレゼントで……」
義母にそれを手渡した瞬間、空気が変わりました。
「お義母さんの表情が急に変わったんです。私、何か失礼なことしちゃったのかなって、一瞬焦りました」
すると次の瞬間、義母はぽろぽろと涙をこぼし始めたといいます。
「母の日のプレゼントなんて、初めてもらったの」
義母は、涙をぬぐいながらこう話しました。
「母の日のプレゼントなんて、初めてもらったの。それにこの羊羹、こっちにはお店がないからすごく嬉しいわ」
ナオコさんは思わず言葉を失ったそうです。
なんでも、夫も義弟も、これまで母の日に何かを贈ったことはなかったのだとか。
それどころか、義弟一家は頻繁に義実家へ来ては、食事をごちそうになったり、子どもの面倒を見てもらったりしていたそうです。
義母もまた、「家族だから当たり前」と思いながら、自然と支える側に回っていたのかもしれません。
「小学生の孫の部活動で使う道具代を出したり、外出したときに『これ欲しい』って言われて服を買ってあげたり……。気づけば孫関係だけで毎月数万円使っていたみたいなんです」
義母自身は生活に困っているわけではありません。それでも、年金生活のなかで継続的に孫への支出が発生することは、決して小さな負担ではありませんでした。
「お義母さん自身は、『こんなものだと思っていた』って言っていました。でも、プレゼントをもらった瞬間、『自分って今まで何もしてもらってこなかったんだ』って急に実感しちゃったみたいで……」
さらに義母は、自嘲気味にこう続けたといいます。
「私がそんなふうに育てちゃったから、悪いんだけどね」
その言葉に、ナオコさんも胸が締めつけられたそうです。