現代のシニア世代において、孫は生きがいのひとつとされる一方、経済的な負担になることもあります。さらに良かれと思って続けた献身が、家族仲に大きな亀裂を生むことも。ある親子の事例を通じ、過度な援助がもたらす悲劇についてみていきます。
「孫はかわいい、でも、もう限界…」〈年金月15万円〉〈老後資産2,000万円〉73歳母、孫ファーストを続けた末路。48歳長男「絶縁宣言」の理由 ※写真はイメージです/PIXTA

「お袋が勝手にやったんだろ」長男の怒り

「ある日突然、母が泣きながら電話してきました。『お金が足りなくなったから、美咲の習い事を全部やめさせてほしい』と言うんです。あまりに無責任だと思いました」

 

直樹さんの自宅で話し合いが行われた際、事情を理解できない美咲さんは「バイオリンをやめたくない」と泣き叫びました。コンクールを控えた時期でもあり、子どもにとって生活の一部となっていたものを、大人の都合で突然奪われる衝撃は相当なものでした。

 

「泣きじゃくる美咲を見て、母は『ごめんね、でもおばあちゃんも生活が苦しいの』と。その言葉を聞いて、怒りが抑えられなくなりました。母が勝手に『させてあげたい』と始めて子どもをその気にさせておいて、自分の財布がピンチになったら『はい、終わり』。そんなの、ただの独りよがりじゃないですか」

 

直樹さんはその場で母・恵子さんを一刀両断にしたといいます。

 

「母は『感謝されると思っていたのに』と泣いていましたが、私は最初に言ったんです。高い月謝に対して『身の丈に合っていない。何かあっても自分たちはお金を出せない』『中途半端にやめるのは自分たちの教育方針に反する』『それでもやらせたいのか?』と。誠実さが担保できないなら、最初から手を出すべきではなかったんです」

 

現在、美咲さんの習い事は、直樹さんの家計から捻出できる範囲のものだけに縮小されました。恵子さんからの連絡には、今のところ応じる気になれないといいます。