(※写真はイメージです/PIXTA)
「自分のお金は自分の代で使い切る」我が子とは絶縁状態
シュウジさんには現在45歳になる長女と、42歳になる長男がいますが、長女にこの「使い切り」の方針を伝えたところ、現在は絶縁状態になっているといいます。きっかけは、娘から孫の私立中学の受験費用や、マンション購入の話題が出たことでした。
シュウジさんが「自分のお金は自分の代で使い切る」と宣言した途端、ピタッと連絡が途絶えてしまったのです。
「口には出されませんでしたが、私の財産を計算に入れていたことが透けて見えて、少し悲しかったですね」
実の娘に1円の援助もしないというのは冷酷に思えますが、シュウジさんには、多くの資産家の家族を見てきたからこその「ある確信」がありました。仕事を通じて、親が残した遺産が子の自立心を奪い、きょうだいで血みどろの争いに発展するケースを嫌というほど目の当たりにしてきたからです。
「遺産がゼロなら、最初から争いようがありません。自分たちの人生は自分たちで何とかさせる。それが、親としての最後の責任だと思っています」
「財産を残さない」というシュウジさんの決断は、今まさに資金を必要としている娘からすれば、身勝手な浪費にしか見えないでしょう。しかし、死後に愛する子どもたちが骨肉の争いを繰り広げるリスクを未然に防ぐための行動だとすれば、その「使い切り」の美学には、どこか説得力が宿っています。
「1,000兆円」の高齢者資産と、データが示す“老老相続”の問題
シュウジさんが9,000万円の資産を「1円も残さず使い切る」と決意したことは、多額の資産を持つシニア層の一般的な行動から見ると異例といえそうです。
内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によれば、金融資産5,000万円以上の64.6%が「遺族等へ財産を残したい」と回答しており、資産を持つ親ほど子どもに財産を残そうとする傾向が読み取れます。
しかし、親が子に財産を残そうとすることには、データを見ると別の問題も見えてきます。内閣府の「年代別 金融資産保有残高について」によると、現在、日本の個人金融資産約1,700兆円のうち、約6割にあたる「約1,000兆円」を60代以上の高齢層が保有しています。さらに、相続税の申告状況をみると、被相続人(亡くなった人)の68.3%が「80歳以上」であり、財産を受け取る子どもの側もすでに「50代以上」に達している“老老相続”が深刻化していると指摘されています。
現在45歳のシュウジさんの長女は、孫の教育費やマンション購入など、お金を必要としています。しかし、シュウジさんが90歳まで長生きしてようやく財産が相続されたとしても、長女はすでに61歳のシニア世代に突入しており、本当に資金が必要だった時期は過ぎ去ってしまいます。
「いつか入るかもしれない親の財産をあてにして待つ」という行為は、親の長寿化によってライフプランが崩れるリスクと隣り合わせであることを、これらのデータは示唆しているといえるでしょう。
内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」
内閣府「年代別 金融資産保有残高について」
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