内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、経済的な暮らし向きについて「心配である」と答えた人の割合は、配偶者がいる場合の27.1%に対し、離別した人では52.0%となりました。退職金をゴルフに注ぎ込み「俺の金だ」と語る65歳夫に愛想を尽かしたヨシコさん(仮名・61歳)。しかし、いざ離婚後の生活のシミュレーションをすると、自身の年金額を前に愕然。心は自由を求めているはずなのに、熟年離婚に踏み切ることができない悲しい現実とは。
「俺が稼いだ金だ!」退職金でゴルフ三昧の65歳夫…年金見込み〈月10万円〉で「熟年離婚」に踏み切れず61歳妻は絶望 (※写真はイメージです/PIXTA)

「この家を出ていきたいのに…」離婚したくてもできない〈切実な理由〉

「私がいなくなれば、夫もせいせいする。もう、この家を出ていきたいと本気で思いました」

 

そう心に決めたヨシコさんは、離婚後の生活のシミュレーションを始めました。しかし、そこで厳しい現実に直面。

 

ヨシコさんは正社員として働いた期間もありますが、キャリアの大半は扶養内でのパート勤務でした。そのため、65歳から受け取れる自身の年金額は、基礎年金と厚生年金を合わせても月額で約10万円。これだけでは生活費が賄えないことに気づきました。

 

「夫との暮らしは苦痛だけど、一人で生きていくにはお金が足りなすぎる……」

 

ヒロシさんの傲慢な態度に情けなさを感じ、今すぐにでも自由になりたいと渇望するヨシコさん。しかし、老後の経済的な不安から逃れられず、離婚する勇気が持てませんでした。

データが示す「男女の収入格差」と老後の必要資産額

ヨシコさんがヒロシさんの言葉に絶望しつつも、自分がもらえる年金の見込み額を前に離婚を踏みとどまるのは、客観的なデータから見ても現実的な判断といえそうです。

 

ヒロシさんの「俺が稼いできた金だ」という主張の背景には、世代特有の固定観念が影響していると推測されます。内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年)」によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成する割合は60~69歳で29.6%、70歳以上で41.2%と、年齢が上がるにつれて高くなっています。妻の長年の家事や節約という「見えない貢献」を軽視し、退職金を自分だけのものだと錯覚してしまう態度は、夫婦間の信頼関係を破壊する一因であると考えられます。

 

しかし、だからといって安易に熟年離婚を選択するのは、女性にとって経済的なリスクが大きすぎると読み取れます。内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、現在の経済的な暮らし向きについて「心配である(非常に心配・多少心配の合計)」と答えた割合は、配偶者がいる人では27.1%であるのに対し、配偶者と「離別」している人では52.0%と過半数を超えます。

 

さらに同調査において、仕事や年金による平均年収は男性が383万円であるのに対し、女性は 297万円 にとどまっており、男女間に埋めがたい収入格差が存在します。また、一人暮らし(同居者はいない)の高齢者が今後の生活のために必要だと考える金融資産額の平均は 2,013万円 に上ります。扶養内で働いてきたヨシコさんが、月10万円ほどの年金だけで新たに賃貸アパートを借り、2,000万円以上の資産を自力で確保していくことは、データに照らし合わせても困難であると推測されます。

 

長年連れ添った夫への愛情が尽きても、年金制度の壁や長年の収入格差という現実が「離婚」という選択肢を奪ってしまう。ヨシコさんの葛藤は、専業主婦やパートで長年家計を支えてきた多くのシニア女性が直面し得ることをこれらのデータは示唆しているといえそうです。

 

[参考資料]

内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年)」

内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」

 

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