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給与減額によるモチベーション低下と、退職による孤独化
会社員の賃金カーブは年齢とともに上昇し、50代でピークに達します。つまり、50代以降は下り坂となるのが一般的であり、減少する給与に対してモチベーションを維持するのは容易ではありません。
厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査』を参考にすると、50代後半の部長職(男性)の平均月収は約66.6万円、年収で1,087.0万円です。ここで役職定年を迎え、非役職者になった場合、平均月収は45.3万円、年収は800.5万円と約3割も減少します。
さらに60歳定年を境に正社員から外れると、60代前半(男性)の非正社員の平均月収は31.0万円、年収で479.6万円まで下がります。部長時代の半分以下という現実に、意欲を失うのも無理はありません。山崎さんのように退職を選ぶ人も多いでしょうが、その決断が後悔の始まりになるケースも少なくないのです。
内閣府の『孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)』によると、60代男性で孤独を感じている人は約36.5%。また、孤独感に影響を与えた原因として「退職」を挙げた人は14.7%にのぼりました。会社という唯一の拠り所を失うことが、社会的な喪失に直結している実態が浮き彫りになっています。
また、相談相手の有無も深刻な問題です。友人に悩みを打ち明けられる割合は、現役世代に比べ、60代男性では48.8%まで落ち込みます。さらに、経済的に「ゆとりがある」と回答した層であっても、4.6%が強い孤独感を訴えており、これは「普通」と答えた層を上回る数値です。
どれほど現役時代に高年収を誇り、潤沢な老後資金を蓄えていても、組織の外に「個」としてのつながりを持たなければ、空虚な毎日は避けられません。趣味や地域活動など、肩書きの通用しない場所で新しい居場所を構築することこそが、定年後の「静かな退場」を防ぐ唯一の手立てといえるでしょう。