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FIREのはずが…「実家引きこもり」の衝撃
FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは、早期リタイアと経済的自立を両立させるライフスタイルを指します。年間支出の25倍に相当する資産を築き、それを年利4%で運用することで、元本を減らさずに生活費を賄う「4%ルール」が理論的根拠とされるのが一般的です。
従来の定年退職とは異なり、若いうちに集中的に蓄財し、運用益のみで暮らすことを目指します。しかし、この概念には「経済的自立」が前提として含まれており、雄太さんのように親の資産に依存する状態は、本来の定義からは大きく逸脱しているといわざるを得ません。
また、雄太さんの生活は明らかに引きこもり状態に近いものです。内閣府の「こども・若者の意識と生活に関する調査」(2022年度)によると、中高年層(40〜64歳)の引きこもりは推計で約61.3万人にのぼります。
引きこもり状態になった理由として最も多いのが「退職したこと」で37.3%。FIREを機に社会との接点が希薄となり、そのまま引きこもりとなってしまうのは、決して無視できないリスクです。
こうした背景もあり、FIREを目指す人の中でも、完全リタイアを目的とするケースはそれほど多くありません。合同会社WOZの調査(20〜40代の会社員対象)によると、「目標達成してもリタイアしない」という人は47.3%と約半数に達します。
その最大の理由は「社会との繋がり・居場所を維持したいから」(56.0%)であり、「物価高や資産減少への不安」(47.8%)を上回っています。FIREの成功は、必ずしも仕事を辞めることと同義ではないのです。
「いつまでここにいるんだろう……」。そう考えつつも、何もできずに時が過ぎていくと語る弘之さん。再雇用による給与と年金の多くが雄太さんとの生活に消えている現状では、親子共倒れの可能性が現実味を帯びてきます。
「このままでいいわけがない。息子と向き合うことを恐れてきましたが、一度きちんと話し合ってみるつもりです」
[参考資料]
合同会社WOZ『【FIRE目指して投資貧乏?】約6割が生活満足度の低下を実感!将来の自由のために今の幸せを犠牲にする「FIRE疲れ」の実態』