近年、物価高騰や実質賃金の停滞により、現役世代の家計は逼迫しています。特に子育て世帯では、教育費の増大から親の資産をあてにする「親頼み」の構図も。ある母子の絶縁宣言から、親子でも踏み越えてはいけない「お金の境界線」をみていきます。
「もう、実家には来ないで!」GWに高級寿司をご馳走になった〈月収50万円〉38歳長男、68歳母から「絶縁」を突き付けられた納得のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

「親の資産」をあてにする現役世代の苦境と、高齢者世帯の現実

現役世代の家計の状況は、決して明るくありません。厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、2026年2月、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で1.9%増(速報、従業員5人以上)。プラスは2ヵ月連続で、政府による電気・ガス代の補助が物価を押し下げた効果です。

 

しかしイラン情勢の緊迫に伴い、原油価格は高騰。このまま実質賃金がプラス圏内を維持できるかは、あまりに不透明です。また2ヵ月連続プラスとはいうものの、年単位でみていくと4年連続マイナス。近年、実質“給与減”の状況が続いています。

 

一方で賃上げの動きもあるものの、これは新卒を中心とした20代などの若手が中心。特に中堅となる30代後半から40代にかけての賃上げは、全世代のなかでも低い傾向にあります。このような状況下、年金生活に入っているとはいえ、日本が元気だったころを知っている親世代に頼りたくなるのも当然かもしれません。

 

文部科学省『令和5年度子供の学習費調査』によれば、幼稚園から高校まですべて私立に通った場合の学習費総額は、約2,000万円。中学から私立だとしても、約1,100万円。高所得層であっても、固定費の増大が家計を圧迫することは明白です。少々見栄っ張りだという直樹さんではあるものの、「いくらお金があっても足りない」という言葉は、多くの現役世代に当てはまる本音です。

 

対して、高齢者の暮らしも楽ではありません。厚生労働省『令和6年 国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の総所得は314万円。そのうち6割強は公的年金・恩給です。そして58.9%の世帯が生活苦(「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計)を訴えています。

 

自分の収入に見合わない生活水準を維持するために、親の資産を最初から「自分たちが受け取るべき予備費」とみなす発想。それは自立して生きようとする親の意志を無視した、あまりに一方的な要求でした。

 

たとえ親子でも家計は別物。自分の生活の補填を当然視する直樹さんの態度は、由美子さん夫婦が守ってきた平穏を壊しかねないものでした。今回の絶縁宣言は、当然の結果といえそうです。

 

 

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