(※写真はイメージです/PIXTA)
深刻化する「介護破綻」の現実…統計から見る現役世代の負担
佐々木さんのようなケースは、決して特殊な事例ではありません。
厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』によると、70代の要介護者に対して、同居している「主な介護者」の年齢は、同じ70代が最も多く62.0%。続いて60代が15.3%。介護者が配偶者というパターンが多いものの、働き盛りの40代というパターンも8.0%存在します。40代未満と合わせると、10人に1人の水準に達しており、そこには深刻なビジネスケアラーの問題が見え隠れしています。
特に問題となるのが、介護に伴う「経済的損失」と「精神的孤立」です。
生命保険文化センター『2024年度 生命保険に関する全国実態調査』によれば、介護に要した費用のうち、一時的な費用の合計は平均47.2万円、月々の費用は平均9.0万円となっています。また、介護期間は平均4年7カ月ですが、10年以上と長期間に及んでいる人は14.8%にものぼります。
さらに、追い詰められた末の「介護離職」は致命的なダメージをもたらします。総務省『2022年 就業構造基本調査』によると、過去1年間に介護・看護を理由に前職を離職した人は約10.6万人に達します。働き盛りの40代・50代での離職は、生涯年収を大幅に減らすだけでなく、自身の年金受給額にも影響し、将来の老後破綻を招く決定的な要因となります。
こうした事態を回避するためには、「親の年金の範囲内で介護を行う」体制を整えることが鉄則です。また、親と子の住民票上の世帯を分ける「世帯分離」を行うことで、親が「住民税非課税世帯」となり、介護保険の自己負担限度額や施設利用時の食費・居住費が軽減される場合もあります。
何よりも、地域包括支援センターへ早急に相談し、自分一人で抱え込まないことが重要です。佐々木さんのように精神的な限界を感じている場合は、ケアマネジャーに実情を吐露し、ショートステイ(短期入所)などを活用して「介護から物理的に離れる時間」を強制的につくることも有効です。
責任感の強い人ほど「自分がやらなければ」と自らを追い込みますが、介護は終わりが見えないもの。自身の生活と収入、そしてメンタルを最優先に守ることが、結果として親を支え続ける唯一の方法です。
【注目のウェビナー情報】
【短期償却】5月9日(土)オンライン開催
《所得税対策×レバレッジ投資》
インフラ活用で節税利益を2倍にする方法
【相続×資産運用】5月13日(水)オンライン開催