少子高齢化が進むなか、働き盛りの世代が親の介護を担う「ビジネスケアラー」の問題が顕在化。仕事と介護の両立に悩み、経済的・精神的な限界を迎える現役世代は少なくありません。ある44歳男性のケースを通して、介護破綻の回避策を考えていきます。
母を恨みたくないのに…〈手取り月37万円〉44歳会社員、深夜のキッチンで嗚咽した「悲しい理由」 (※写真はイメージです/PIXTA)

深刻化する「介護破綻」の現実…統計から見る現役世代の負担

佐々木さんのようなケースは、決して特殊な事例ではありません。

 

厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』によると、70代の要介護者に対して、同居している「主な介護者」の年齢は、同じ70代が最も多く62.0%。続いて60代が15.3%。介護者が配偶者というパターンが多いものの、働き盛りの40代というパターンも8.0%存在します。40代未満と合わせると、10人に1人の水準に達しており、そこには深刻なビジネスケアラーの問題が見え隠れしています。

 

特に問題となるのが、介護に伴う「経済的損失」と「精神的孤立」です。

 

生命保険文化センター『2024年度 生命保険に関する全国実態調査』によれば、介護に要した費用のうち、一時的な費用の合計は平均47.2万円、月々の費用は平均9.0万円となっています。また、介護期間は平均4年7カ月ですが、10年以上と長期間に及んでいる人は14.8%にものぼります。

 

さらに、追い詰められた末の「介護離職」は致命的なダメージをもたらします。総務省『2022年 就業構造基本調査』によると、過去1年間に介護・看護を理由に前職を離職した人は約10.6万人に達します。働き盛りの40代・50代での離職は、生涯年収を大幅に減らすだけでなく、自身の年金受給額にも影響し、将来の老後破綻を招く決定的な要因となります。

 

こうした事態を回避するためには、「親の年金の範囲内で介護を行う」体制を整えることが鉄則です。また、親と子の住民票上の世帯を分ける「世帯分離」を行うことで、親が「住民税非課税世帯」となり、介護保険の自己負担限度額や施設利用時の食費・居住費が軽減される場合もあります。

 

何よりも、地域包括支援センターへ早急に相談し、自分一人で抱え込まないことが重要です。佐々木さんのように精神的な限界を感じている場合は、ケアマネジャーに実情を吐露し、ショートステイ(短期入所)などを活用して「介護から物理的に離れる時間」を強制的につくることも有効です。

 

責任感の強い人ほど「自分がやらなければ」と自らを追い込みますが、介護は終わりが見えないもの。自身の生活と収入、そしてメンタルを最優先に守ることが、結果として親を支え続ける唯一の方法です。

 

 

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