内閣府の調査によれば、現在の収入源として「子や親族からの援助」を受けている高齢者は、全体でわずか2.4%に過ぎません。しかし、物価高や金利上昇で家計が圧迫されるなか、自らは働きに出ず、自立した子どもに異常な経済的負担を強いる親のケースが問題化しています。奨学金を返済しながら手取り23万円で一人暮らしをするタクヤさん(仮名・25歳)に対し、「実家に戻って月8万円入れて」と要求する54歳母親の事例を紹介します。家計が苦しくなった母親が、息子を縛るために送った〈LINEの内容〉とは。
「実家に戻って月8万円入れなさい!」手取り23万円・25歳男性、お金を無心する母親からの〈呆れたLINE〉に頭をよぎる「絶縁」の2文字 (※写真はイメージです/PIXTA)

「家計が苦しいなら働けば?」正論に対して怒りのLINEを送る母

本当に明日の食事にも困る状況ならまだしも、54歳で身体も健康な母親はずっと専業主婦のまま、家でテレビを見て過ごしています。

 

タクヤさんが「家計が苦しいなら、パートでもいいから働いたらどうなんだ」と正論をLINEで返すと、母親からは怒りに満ちた文章が送られてきました。

 

「ずっと家庭にいたのに、今さら外で働けるわけないじゃない!」

「お父さんだって、妻にパートをさせるなんて世間体が悪いって言うに決まってるわ」

「頼れるのは息子のあなたしかいないのよ!」

 

自身の生活は変えようとせず、父親の顔色や世間体をうかがいながら、自立した息子の給料にすがろうとする母親。タクヤさんは、家族という鎖で自分の人生を縛ろうとする母親の姿に愛想を尽かしてしまい、実家と縁を切ることすら真剣に考えています。

援助に頼る親はわずか2.4%…子の人生を縛る「古い価値観」の実態

物価高や金利上昇により、現役世代の家計が圧迫されていますが、それはシニア世代も例外ではありません。内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳以上で収入を伴う仕事をしている人の割合は35.6%となっており、多くのシニア層が経済的な理由や生きがいを求めて働き続けています。経済的に厳しくなれば、夫婦共働きで家計を支えるのが現代の一般的な対処法です。

 

しかし、タクヤさんの母親のように、長年専業主婦として家庭を守ってきたという意識から働きに出ることを拒否する層も存在します。内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年)」によると、現代でも「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成する人は全体で33.1%存在します。さらに、賛成する理由として「夫が外で働いた方が、多くの収入を得られると思うから(39.3%)」や「日本の伝統的な家族の在り方だと思うから(17.9%)」といった、夫の経済力への依存や古い価値観を示す回答も目立っています。

 

さらに、内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によれば、収入を増やす必要がある場合の対応として「自分が仕事をして収入を得る」と答えた人が29.4%なのに対し、「家族、親族から援助をしてもらう」と答えた人はわずか5.3%にとどまっています。また、現在の収入源として実際に「子や親族からの援助」を受けている人も、全体でわずか2.4%に過ぎません。

 

その結果、家計が苦境に立たされても自らは働かず、「夫のプライド」などを盾にして、足りない生活費の補填を社会に出たばかりで余裕のない子どもに要求し、子どもの生活基盤や将来設計まで脅かしてしまうケースが発生しているのです。客観的なデータから見ても、安易に子どもの仕送りにすがろうとする親の姿勢は、身勝手な行動といわざるを得ません。

 

[参考資料]

内閣府「令和7年版高齢社会白書」

内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」

内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年)」